札幌そば研究センター

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2017年11月29日水曜日

そば紀行(28)鹿落堂 仙台市

鹿落堂(ししおちどう)

仙台市都心部の南西、広瀬川の蛇行部に挟まれた経ケ峯にある伊達政宗を祀る霊廟である瑞鳳殿の東側に鹿落坂(ししおちざか)があります。霊屋下から太白区向山にまたがる坂道です。この坂の東には広瀬川、西には経が峯があるともいえます。この坂を霊屋下から登り切った右手に今日伺った鹿落堂(ししおちどう)があります。崖に張り付くように建つガラス張りの素敵なお店です。斜め向かいには、中華で有名なKUROMORIがあります。

暖簾もモダンで、店内も素敵なカウンター席があり、眼下には広瀬川の蛇行が良く見えます。店に入ると左手に手作りの日用品が並んでいて、正面はカウンター席とその奥にテーブル席。その左手には大きなそば打ち台があります。日用品の置かれた脇を二階へ上がると、そこにもカウンター席とテーブル席があります。デザイン性の高い店内で、このように洗練したデザインの中に居るのは、大変気持ちが良いです。
わたしは、この二階のテーブル席につきました。

メニューを見ると、十割蕎麦御膳、二八蕎麦御膳、板そば、かも南蛮蕎麦などが並んでいます。自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦御膳は、「鳴子川渡産、鬼首産の信濃1号、キタワセの玄そばを宮城の安山岩の石臼で粗挽きし、一番外の殻だけを取り除き細打ちしております。」とあります。また、手打ち二八蕎麦御膳は、「北海道産ぼたん、山形産常陸秋そば、でわかおり、もがみわせ、宮城県産あやめの品種を外殻を取り除きマル抜きにした物を石臼挽きしたそば粉に、北海道産キタノカオリの小麦粉を二割加えて手打ちしております。」と記載されています。

このメニューを見て、期待が増してきました。このこだわりは、期待できます。そばの産地、品種、管理方法、製粉とこれらが変わるとそばが変わります。色々とソバも探されているのだろうなと思います。原産地がこれだけ広いというのは、探し続けているのだろうと思えます。また、石臼の原石の品種にもこだわりがありそうです。

私は、自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦御膳という最も長いネーミングをお願いしました。待っている間に、店に展示されている手作り日用品を拝見しました。素朴で日々使いの日用品が並んでいます。また、レジの脇には、和菓子のテークアウトが置いてあります。くずもち、変わり種の小さなおはぎなどが。

このお店は、昼から15時まではそばを提供していますが、15時以降は、喫茶と甘味処としてお店を開いています。今日は時間が無いので、甘味処がオープンするまでは待てないので、変わりだねのおはぎ2個(1個は小豆、もう一つはクルミピーカンナッツです)を、テークアウトで予約です。実は、帰る頃には売り切れだったので、この判断は正解でした。後でいただいたのですが、クルミピーカンナッツは美味しかったです。ナッツ好きにはお薦めです??小豆は甘さを抑えた美味しいおはぎです。
帰宅後いただきました
そばが来ました。透明感があり、その中に玄ソバ挽きぐるみの黒い小さな点があり、かつ、粗挽きの粒感も兼ね備えています。大変おいしいそばです。
福島県喜多方の山都町宮古地区のそばが、玄そばをドラムで挽きぐるみして、歩留まり60%での製粉ですので、微粉を基礎に外皮が少しだけ入るので、透明感があり、小さな黒点と、コリコリとした食感があります。
これを基に考えてみました。石臼挽きですので歩留まりを下げて微粉を加えて透明感をだしています。また、コリコリ感は抑えているので微粉の量は減らしてします。挽きぐるみなので少々の小さな黒点がありという所は一緒です。ここに粗挽き粉の量を増やすというブレンド配分をしたような粉でできていると感じました。この最後の点が、大変効いていてオリジナルで美味しいそばをつくりあげています。水回しはもしかすると湯ごねかもしれないと感じました。
超お薦めのそばを提供されるお店です。


私がこれまでにこのそばは凄いなと感じた蕎麦は、平泉の地水庵さんの古典(超粗挽きそば)、前述の山都宮古地区大下さんのそばの二つです。この二つのそばは、そば粉の性質として全く反対のそば粉の性質を活かしたもので、全く異なるそばですがどちらも美味しいそばです。クリエーティブなそばという点でも大変興味深いそばです。この二つのそばに類似した美味しいそばはいくつかあります。この二つの両極端のそばに、三番目に新たに、鹿落堂さんの長いネーミングの「自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦」が加わりました。最初の二つのそばとは趣を変えた美味しいそばを提供されます。そうです、今気づきました。「最初の二つのそばの真ん中を行くようなそば。」「二つの良いとこどりをしたそば。」とでもいうのが良いのかな???

食事を終えて階下に降りると、店主の兵頭さんが出てこられてお話することができました。大変お忙しい中厨房から出てこられてお話しさせていただきました。感謝です。

お話によると、やはり石臼はこだわられていて、このそば粉を挽くために作成依頼したものだそうです。また、こちらは私の「カン」が外れましたが、このそばは、水で打っているそうです。凄い方です。
また今度、ゆっくりお話しできそうな時間帯にうかがって、いろいろと教えていただきたいなと思いました。

2017年11月11日土曜日

そば紀行(28) 想耕庵 山形県上山市

山形市の南側の上山市にある想耕庵さんに伺いました。
このお店も、雑誌が情報源で知りました。非常に趣のある所にあり、そばが美味しいという記事に興味を持ち、一度伺ってみたいと思っていたお店です。

上山市を流れる川とその側を走る電車が交差するところにお店があります。入口がわかりにくいですが、看板がったので曲がってみようと思い、そのまま進むとお店が突然現れます。旅館の隣のそば屋という情景でした。

店の看板がいくつかあり、その看板に誘われるように進むとお店の入り口にたどり着きます。実際には、そんなに長い道ではありませんが、大丈夫なのかな?という不安と一緒に進むので、長く感じます。

店の入り口の上には、写真のような板看板がありました。文字を書き込んだ看板や、書画が置いてあり、その回りにはレトロな家具や雑貨が並んでいます。昭和初期の生活道具に囲まれた席に案内されます。
元々は、旅館を営んでらしたそうですが、温泉が止まり旅館を絶たんでそばを初めて10年になるとのことでした。


メニューは、板そば(山形特有の板に載せたそば)、鴨または鶏せいろ、野菜天ぷら、にんにく揚げがあります。板そば大盛と野菜天ぷらをいただきました。

そばは、デワカオリを二八で打っているそうです。この時点で、えッ!!二八なのですか?という疑問が。そうか、雑誌には十割とは書いていなかったかもしれないと・・・。
出されたそばは、普通の二八の板そばでした。そば切りも結構雑で少し残念でありました。


そば紀行(27) くま屋 山形県白鷹町

山形県の最上川沿いの小さな町の白鷹町に「くま屋」がありました。
白鷹町は、山形市の南西部にあり、ベニバナ栽培、アユが有名です。白鷹町で獲れる鮎は、相当長い距離の最上川を遡上することとなります。ここの鮎は「紅葉鮎(もみじあゆ)」と呼ばれ、大きくてお腹に赤い線が入っているのが特徴で、とても珍重されているそうです。

白鷹地区には、昔から各集落に一軒以上「そば屋」があり、たのまれた時や祝いの席などで腕を振るう蕎麦打ち名人がいたそうです。昭和の末から平成にかけて、白鷹地区に新たなそば屋がいくつか開店するようになり、それぞれの店主がそれぞれの味で楽しませてくれ、遠来からのお客様もクチコミで増えてきているそうです。私が伺ったくま屋さんも、雑誌での照会がその情報源でした。

白鷹地区のそばは、生粉打ち、細打ち、濃いタレが特徴ということになるそうです。最近では、「隠れ蕎麦屋の里」と呼ばれるようになったそうで、そば祭りも開催されているようです。

くま屋さんに着いたのが、11時を少し回ったところでした。秋の日差しがきれいな時で、店の前のカエデの紅葉と、緑とのコントラストがきれいです。


お店は、民家を改良しているそうです。店に入ると、左手にそば打ち台があります。今日もそばを打ったという痕跡を残しています。メニューは、モリそばと追加そばのみです。

ソバは、デワカオリを使用し、製粉は依頼しているそうです。そばを拝見すると、その色や麵の状態から、玄そばを挽きぐるみで、ほんの少しだけ粗目のそば粉も加えているように推察されます。

十割そば(生粉打ち)で打って、20年になるとのことでした。元は、リンゴを栽培されていたそうです。リンゴ栽培に関する表彰状が沢山ありました。

そばは、生粉打ちのザラットした喉越しとそばの香りを感じます。玄そば挽きぐるみですので、少しえぐみを感じますが、強力ではありません。少し、キレギレのそばや、切りぞろえに不揃いがあります。美味しいそばでした。


2017年11月4日土曜日

そば紀行(26) 大下 山都町宮古地区 

今年も会津の喜多方市山都町宮古地区の大下さんへ新そばをいただきに伺いました。

今年のソバは昨年より収量が少なく、あまりよくないようです。東北地区は長雨があり、日照時間も例年になく少なかったのが原因であろうとのことです。
今年は、お隣のソバ畑も一緒に手入れしたそうです。この地域でも高齢化と過疎化が進み、ソバ栽培する農家が減ってきているそうです。今回一緒に手入れしたソバ畑の持ち主も高齢で、畑の世話ができなくなったことが原因だそうです。

一方で、在来種のそば粉を求める人は増えてきているそうで、山都と喜多方の間に店を出されたおそば屋さんからも、在来種そば粉をどうしても分けてほしいという話があるそうです。大下さんは、この地区でそば店をやりながらそば栽培している数少ない(確か3軒しかない)お店ですが、お店の方は大きくやっているわけではないので、収量の範囲でそば店をやることができているそうです。現時点では、在来種のそばを求められれば、在来種でそばを提供できているそうです。それも、現在の状況が精いっぱいで、これ以上店を広げるとそば粉が足りなくなるようでした。

山都地区のそばは、そば粉の製粉が独特で、ドラムで微細に玄そばを挽いて、歩留まりを60%程度で篩掛けするので、相当に微細の粉に玄そばの非常に小さな黒い星が少しだけ入る粉になっています。簡単なイメージとしては、更科系のそば粉に玄そば挽きぐるみの微粉のみを加えたような配分になっているのだと思います。一般的に、玄そばの挽きぐるみは、田舎そばと呼ばれ場合が多く、玄そばの黒さが目立つそばになりますが、この地区の製粉は、一般的な田舎そばにはならずに、上記のような更科+玄そば挽きぐるみの微粉のみというようなイメージですので、まったく異なるそば粉です。この地区と同じような製粉をしているのは、これまで伺ったそば屋さんでは山形県のそば切り源四郎さんです。
そば粉の性質から、水でのつなぎは厳しく、デンプンの固化を用いてつなぐ湯捏ねが主流です。

数年前から、大下さんからそば粉を分けえもらい、水で何度か挑戦しましたが、水でつなぐには相当の量の水を加えて、少しそのまま置いて、水がそば粉内に吸収されてからのすという方法でつながりました。しかし、やはり非常に切れやすいので、茹でる際には相当に気を使わないとバラバラになります。一方、前回訪問時に打ち方を見せていただいたような湯捏ねで四つだししない方法であれば、十分つながったそばとしていただくことができます。

今年は、製粉されたそば粉に加えて、玄そばも分けていただきました。この在来種の玄そばを1年間冷温で熟成させて石臼で自家製紛して試してみたいと無理を言って分けてもらいました。感謝、感謝です。来年には、どんな味になったかを報告しに行きます。
そばができるまでに
手作り刺身こんにゃく美味しいです 

透明感のあるそば
二皿目は天ぷらを出してくださりました
2玉もペロリでした

2017年5月22日月曜日

そば紀行(24) いし豆 真狩村

2017年5月21日(日)北海道真狩村の「いし豆」さんへ伺いました。

今年、岩手県平泉の地水庵に伺った際にご紹介いただいたお店です。
大変混んでいる人気店です。1日40-50食で売り切れ閉店です。

”5/19(金)に発売される【ミシュランガイド北海道2017特別版】。書籍の発売に先行して5/15より掲載店が発表となりました(WEB限定)。『ビブグルマン』に掲載されているお店です。”

店主の石川様に事前に訪問を約束し、お店の終了後に伺いました。2時間ほど、色々とお話を伺うことができました。
いし豆さん、小樽のきむらさん、札幌の此花さん、これに平泉の地水庵さんが加わり、色々と研鑽されているのがよくわかりました。共同でソバの購入を行い、保存方法、製粉等を研究されています。

本日提供いただいたそばは、昨年のそば粉(黒松内落合さん栽培の奈川在来種)を脱酸素で2-4℃で保存した玄そばを、その日に用いる分だけを脱皮し、丸抜きを用いて、石臼手挽製粉と、電動石臼挽き製粉をブレンドして、十一で打ったそうです。つなぎに関しては、十一で入れた方が、生粉よりも食感が良くなるからとのことでした。
確かに、つながりや食感はよくなるのかもしれないと思います。

いただいた「もりそば」は、その食感、香り、甘みを感じる美味しいそばでした。やはり、粗引きと微粉配合がそばの香りと甘みを引き出すには必要なのだと再認識させられるそばでした。粗挽き粉のそばの香りと、微粉のそばの甘み、食感を引き出すためのつなぎの良いところをそれぞれ引き出しているのだと思います。これらの配合研究の成果がそばの美味しさを引き出していることを、地水庵さんのそば同様に感じさせるそばでした。

今日の経験で、改めて考えを巡らすと、次のような知見が得られるのではないかと思いました。
そばの香りと甘みがそばの美味しさだと思われている方は、次のようなそばを好む傾向があるのではないでしょうか。

  • 微粉引きのそば粉を用いて生粉打を行う。
  • この生粉打そばの香りと甘みを引き出すために、長茹でして甘みを引き出す。
  • そなために冷水絞めが必要になります。
  • これらは、すなわちそばの食感を捨てることになります。

この長茹でそばが美味しいという言う方がいます。比較駅年配の方に多いように思います。ここまで極端ではなくても、生粉打そばを好む方には、食感よりもそばの香りや甘み重視派が多いのではないかと思います。

一方でその全く反対で、そばの香りや甘みよりも、食感をより重視する方がいます。決してそばの香りや甘みを無視しているという訳ではありません。もし、そばの香りや甘みを全く捨てているのであれば、そばでなく他の麵で良いわけですので。どちらかというと食感重視という方は、次のような傾向があるのではないでしょうか。

  • のど越しを最重視する。
  • ツルっと感が大事なので、生粉打よりも二八そばを好む。
  • そばの香りや甘みは感じられれば良い。

この二八そばを好む方が、実は多いというが現状ではないかと思います。生粉打そばは、のど越しが物足りないと感じるわけです。比較的若い方に多いように思います。

この両方の方にアプローチして、美味しいそばを提供するには、製粉、配合が重要なポイントになるのではないかと思いました。

いし豆さんでは、そばの美味しさを左右するのは、やはりソバ自体が美味しいソバか否かによるという結論に至っているようです。ソバ農家さんが栽培する美味しいソバの持つ力を、いかに損なわないで保存し、製粉し、提供するかがそば店の役割かなというお話でした。ソバは引き算だよというお話は、なるほどと頷くお話です。

また、日本全国のお蕎麦屋さんにも大変多くの情報をお持ちで、大変勉強になりました。少しずつ美味しいそばを提供しようと頑張っているお蕎麦屋さんが増えているのだと実感します。日本特有のそば文化ですので、その文化を基礎にソバをより美味しい「食」へ導こうとするお蕎麦屋さんの頑張りに、大エールを送りたいです。しかし、これだけのそばを安価(もりそばは、他店の大盛りサイズで800円でした)で提供されています。これは、消費者にはありがたい話です。






2017年4月29日土曜日

そば紀行(23) 津軽そば 弘前市

津軽そばは、青森県津軽地方を中心に食されている郷土料理の蕎麦。「つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うのが特徴で、その呉汁をそばがきに混ぜ合わせて生地が作られている。」「江戸時代に蕎麦からタンパク質を摂取するためにこのような独特の製法が生まれたとされている。」とWikipediaに記載がある。弘前市内で見かける津軽そばはどうなのだろうか?

弘前市の「野の庵」を中心に、昔ながらの津軽そばを復活させたとあるが、当の野の庵での現在のもりそばは、大豆つなぎの津軽そばではなくなっている。

弘前駅に近い虹のマート(生鮮食品市場)に、明治21年創業の㈱アキモト製麺は直営のイートインを営業しています。「津軽そば」「津軽そば極上」などの麵を販売しながら、イートインできるようになっています。本市場も、他の市場同様に市場内のお店の食材を購入してその場で食べられるようなテーブルが用意されています。アキモト製麺店では、麵をその場で茹でて提供してくれます。
アキモト製麺店の津軽そばの製法は、Wekipediaにあるような大豆を用いてつないだそばではなく、小麦でつないだそばだそうです。ということは、津軽そばというより、普通のそばです。極上はつなぎ1割とのことでした。
このようなそばを津軽そばと呼んでよいのかは、判断しかねます。地元の方がそのように呼んでおられるので、それも有りではと感じました。郷土蕎麦を元々ある形で現存させるのは、なかなか難しいのだろうなと思います。

津軽名物に、最近話題になってきた(あるTV番組が紹介)「イカメンチ」というのがあります。イカゲソを叩き、野菜と混ぜて揚げるという食べ物です。お好み焼きをさつま揚げのように揚げるという両者をミックスしたような食べ物です。これが美味しいのです。

虹のマートにも、「イカメンチ」を提供している店が数店あります。今日は2店で購入し、アキモト製麺に持ち込んで、極上津軽かけそばと一緒にいただきました。
やわらかい「津軽そば??」と「イカメンチ」を堪能です。

津軽そば?とイカメンチ×2

2017年3月30日木曜日

そば紀行(22) 大内宿  (ネギそば=高遠そば+ネギ)

南会津の大内宿を訪れました。

高遠そば+長ネギ=ネギそば@大内宿
という公式でしょうか?

季節がら、1/3程度のお店しか空いていませんでした。この宿場が今に残り、生活している方々がたくさん居られるのは、凄いことです。ほとんどの店舗で、お土産物屋、そば店、その他の飲食店をやられています。このお金で、大内宿の保存をしているそうです。からぶき屋根の張替えをはじめ、メンテナンスが大変な家に住まわれていますので。
残雪の大内宿
雪と空の間に茅葺
宿場景

十割蕎麦を提供をしているのは、2店舗だけでした。十一そば、あるいは、二八そばを提供している店が多かったです。大変残念ながら、十割そばを提供する2店舗がお休みでした。

東北の多くの有名なそば街道やそば産地では、ほとんどが二八そばか十一を提供しています。大内宿、山形の最上三街道、宮城の七ヶ宿、弘前へうかがいました。これらで、十割そばを提供している店は、それぞれの集落で2~3軒というところです。

空いているお店はつなぎ入りです。そこで、もりそばではなく、大内宿そばである“ネギそば”にすることにして、いくつかのお店をあたりました。

軒下でおせんべい屋さんを営んでいるお店がありました。手焼きでここで焼いているそうです。浅草なら、長蛇の列(多分)だと思いますが、ほとんどお客さんも立ち止まりません。その場で焼いているところが見えないので、これでは客は寄ってこないだろうな?と思いながら店に近づくと、中から声をかけられました。おかみさんのようです。おせんべいを勧められて試食を。
美味しいです。数種のせんべいを焼いています。「焼いておるところが見えないけど?」と聞いてみました。「暖かくなれば、ここで焼いている。」と言って、隣を指さしました。「そうか、やはり焼いているところを見せているんだよね。」と納得です。ついでに、店の見えるところに、そばのうち台があります。「ここでそばを打つのですか?」「ここで、打ってます。」「今日も、ここで打ってたんです。」

このマーケティング努力に、山形屋さんに入ることにしました。他の店では、そのような店がありませんでしたので。
山形屋
軒に並ぶせんべい

店にあがると、8名の年配の団体とご夫婦1組でした。8名の団体の方たちは、“ネギそば”です。私も汁とネギとのバランスを楽しみに同じものをお願いしました。
甘めの汁に大根おろしとおかかが合います。ネギは噛付きました。


ついでに、山形屋さんのおせんべい情報です。
超固焼きを購入しました。袋の裏の注意書きには、「歯が折れないように気を付けて。」とあります。
美味しいおせんべいでした。なかなか手に入らないレアモノかもです。1袋しか買わなかったので、残念。直ぐになくなりそうです。
歯は折れません。

2017年3月28日火曜日

そば紀行(21) 地水庵 (2) 平泉


地水庵の第2弾です。

中尊寺から戻り、ふたたび地水庵さんへ伺いました。平泉訪問に関しては、一期匠Many JPNのブログに掲載しました。

そば2種はいただいたので、そばがきの善哉をいただこうと思っていました。店主から、善哉のそばがきと通常のそばがきは、使用している粉と作り方が異なるというお話を伺いました。普通のそばがきは、古代そばの粉を用いて作り、善哉のそばがきは、せいろのそば粉を用いて、もちもちフワットのそばがきに仕上げているそうです。
両者のそばがきは、食感、味、香りが異なるというのです。
これは食べ比べないわけにはいきません。フルで2つのそばがきは食べられるかどうか分からないので、少しずついただくことにしました。

最初に出されたのは、古代そばのそば粉である、超粗挽き粉をそばがきにしたものです。このそばがきの、そばの香りは凄いですし、食感はフワットしたなかにそばの粒を噛みながらいただくもので、先ほどのそば切り(麺)に比べて穀物をより強く感じる一品です。それがそば本来の持つ、美味しさなのだという事を確認しました。何もつけずに、そのまま。いただいてしまいました。
次の善哉に入るそばがきは、ふわふわです。かつ、口の中で溶けます。この溶けるそばがきと、優しく炊いた小豆が良い比率で椀に入っています。
そばがきは、こんなに変わるのだということをはじめて経験しました。
店主は、「そばがきは奥が深い。」「面白いよ。」とのことでした。たしかに、使用するそば粉の状態、そばがきの作り方で色々なそばがきが出来るかもしれません。

超粗びき粉(古典そばのそば粉)
超粗びき粉のそばがきの中
中粗びき粉のそばがきの善哉  フワトロです

その後は、様々なお話をいただきました。そばの栽培から、製粉、そばの打ち方等々、本当に幅広い専門的なお話を伺うことができました。
体調を崩してからは、栽培は自身の手を離れ、別の方にお願いしているそうです。
特別の栽培方法を農家の方を訪問してお願いして栽培収穫したものを仕入れておられます。また、仕入れた玄そばは、独自の管理方法で、保存しておられます。その後の製粉には細心の注意をしておられるようです。「もっとも重要なプロセスは製粉かもしれない。」と言われた一言が重いなと感じました。ものすごく粗びきの粉を、何も用いずに水でつないで提供する古典そばは、ものすごい工程を経て、そば切りになり、我々の前に出されているのだということ知りました。この値段では、安すぎますね。一度、このそばを試してみてください。究極の粗びきそばだと思います。
宿六さん、時香忘など、新たな取り組みで美味しいそばを提供されています。これらを総じて上回るそばではないかと思います。

そばそのものの美味しさをどのように表現するか?というところに集中している様子がうかがえ、本当に感銘しました。尽きないお話で、いつまでもお話していたかったです。


2017年3月21日火曜日

そば紀行(21) 地水庵(1) 平泉

地水庵にやっと伺うことになりました。待ちに待った地水庵です。

2016年3月に山形県の鶴岡にある「大梵字」から独立した「蕎麦きり 風土」を訪れた際に、「是非、一度伺ってみてください。」と紹介されたお店です。「そばの香りが味わえる、すごいそばを提供されています。」というお話でした。

この時から遡ること2年前の頃です。美味しいそばを求めて、そば店を巡りました。この当時の情報は、そばの有名店や老舗店の情報が主でした。しかし、なかなか、美味しいそばに出会えませんでした。殆どのそば店では、つなぎに小麦粉を加えています。また、地方のそばは別のつなぎを用いていて、これらのつなぎがそばの味を邪魔します。そこで、自身でそばを打てば美味しいそばをいただけるのではと考え、生粉でのそば打ちをはじめました。そば打ちを初めて1年半が過ぎ、現在打っている生粉打ちのそばの美味しさは理解したうえで、もっと美味しいそばがあるのではないかと考え始めます。そこで、改めて情報を集めなおします。ニューウェーブのそば店や、話題のそば店、新たな取り組みをしているそば店の情報を集めて、色々とお話を伺うために、またそば店巡りを再開します。そんな記録を本ブログの「そば紀行」へ寄稿を始めます。このような経緯で、「蕎麦きり風土」を訪れた際に、ご紹介いただいたのが「平泉の地水庵」でした。
紹介をいただいてから1年が過ぎた2017年3月に初めて伺うことになりました。これには訳があります。ご紹介いただき、直ぐに地水庵さんへ連絡しましたが、電話が通じません。何回かご連絡させていただきました。何回目でしたか?電話口に奥様の声で、応対いただいた時は、「やった」と思ったのです。しかし、奥様のお話では、「店主が体調を崩し、お休みしています。いつ開催できるかわかりません。」というお話です。これは残念でしたが、やむを得ません。

それから、1年近くが経った先週に、仙台から盛岡に行く機会がありました。ふと、地水庵さんではどうされているだろうかと思い、電話をしてみました。すると、奥様が出られて、「先日、再開しました。」とのことです。数日後に日程調整をし、伺える日を告げ今日に至ったという訳です。本当に、待ちに待った訪問です。

11時30分開店ということでしたので、10分ほど前に到着し開店を待ちました。事前に電話を入れ、超粗びきの「古典そば」と中粗びきの「せいろそば」の両方をお願いしておきました。また、お店が終わってから、お時間があれば、そばのことをご教授いただけないかという、厚かましいお願いまでしています。

11時30分を少し過ぎたころに、のれんがかかりました。店内に案内されると、その天井の太い梁に驚かされます。後で窺うと、店主自身が見つけてきて作ったそうです。
また、店内にはJAZZが剥き出しのアンプから大きな据え置きのスピーカーを通じて流れています。JAZZは自然で違和感はありません。障子には外の光と木の影が、障子の彩に加勢します。
伺った時には、6名の中年の男女のグループと私でした。





古典蕎麦が最初に出されました。超粗びきですが、そばとしてつながっています。そばのいやな臭みではなく、香りが立ちます。何もつけずにそのそばをいただきました。「愕然としました。」これまで食べたことの無い「そば切り」でした。殆どを何もつけずにいただきました。少しだけ岩塩をつけるとそばの味が増します。そば汁をつけると、そばとの調和を考えられたシンプルな味の汁でした。
そばの穀物としての風貌を感じるそばです。これは凄いそばです。どれだけの準備をして、ここに出されたのかを考えると、いただくのが申し訳ないくらいです。




次に中粗びきのせいろをいただきました。こちらも、相当な粗びき粉のそば切りです。古典そばほどの荒々しさと穀物の風貌ではありませんが、しっかりとした粗びきのそばをいただきました。これは、これまでいただいた粗びきそばを超えています。本当に美味しいです。



店内には、メニュー以外のそば情報がありませんので、多くのお客様は、ここで出されるそばがどんなそばかを知らないのだと思います。もちろん、そばですので美味しければよいのでしょうが、そばの美味しさを誤解している方も多いのも事実です。

しかし、それも否定できないのです。二八そばや、それ以上のつなぎを使用したそばを食べ、美味しいと思っておられる方は、そのようなそばしか食べたことがないので、それが基準になります。そのような方は、このそばを食べて、「短いそばだ」「つるっとしていない」「のど越しが違う」などの批判をするのかもしれません。二八そばや、それ以上につなぎの小麦粉が入ったそばが基準の方には、このそばの凄さが、わからない可能性があります。

これは、大変残念なことです。そばの美味しさを感じられないのだと思います。しかし、これは、現在の日本のそば事情ですのでやむを得ないのだと思います。そんなそば事情を変えようと頑張っておられる「地水庵」のような方も沢山居られるので、少しずつ変化があると良いなと感じました。

この後、他のお客様が来られたので、中尊寺に訪問し、その帰りにまた寄る約束をして一度店を出ました。その後のお話は、別の回にて。


2017年2月8日水曜日

そば紀行(20) 野の庵 津軽そば 弘前市

野の庵は津軽そばを復活させ、提供しているお店と伺い、一度行ってみたいと思っていました。数か月前に予約して、今回の訪問となりました。

津軽そばは、平成9年に、野の庵の佐藤夫妻を中心に「幻の津軽そば研究会」が結成され、文献や旧家に伝わる製法を調査、実証しながら、昔ながらの「津軽そば」として復活させたそうです。

「津軽そば」は、つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うそうです。
藩政時代、庶民は普段からそばを食べる機会が多かったと言います。そばだけでは栄養がかたよってしまうので、タンパク質が豊富な大豆を使う独特の製法が生まれたのだと言います。
「津軽そば」は、一昼夜水に浸しておいた大豆を丹念にすりつぶし、その呉汁をそばがきに混ぜ合わせて生地をつくります。その生地を半日ほどねかせ、熟成させてから、そばを打つので、時間がかかるそばです。そのためか?食生活が豊かになったことから、手間ひまがかかる津軽そばは、戦後、一度消え去ったようです。

伺った日は、雪が前日に振った翌日でした。店に着くと店主の佐藤様が雪かきをされていました。到着が少し早かったので、まだ店は開店前でしたが、快く迎えて下さり、店に案内してくださいました。

やっと伺ったので、冷たいそばと、暖かいそばと両方を頂戴しました。
もりそばは、津軽そばではなく、十割そばを提供しているそうです。かけそばは津軽そばを提供しています。

もりそばを津軽そばではなく、十割そばとした理由は、用いているソバを、北海道の黒松内で生産されている在来種(たぶん、奈川在来種ではないかと?)にしてからのようです。そば粉に粘りがあるので、津軽そばにしなくてもつながるし、そばの香りも良いのでというのが本音のようでした。
暖かいそばは、津軽そばを提供しているそうです。
汁も、もりそば用は鰹節のみを用い、温そば用はその他に昆布、魚節と隠し味に煮干しも用いているそうです。
ゆで時間も、もりとかけで数秒異なるそうです。
かけそばは、柔らかいそばで、その柔らかさが津軽そばの特徴のようです。(下記の特徴を参照)
どちらのそばも、美味しくいただきました。








津軽そばの作り方は色々流儀があるようですが一つ製法を紹介したサイトがありました。
大きな鍋または釜に湯を沸騰させます
そこにそば粉を入れ、粒々がなくなるまでよくこねてそばがきをつくります
出来たそばがきを丼で一杯ずつすくい、塊のまま水の中に入れます
その状態で水の中に入れて塊の芯まで冷やしておきます
一方で一日から二日間ほど水に浸しておいた大豆をすり鉢でよくあたり水を少し加えます
これを別に用意したそば粉に入れて、手でよく混ぜ合わせます
この大豆が一昼夜置く間に程よく発酵してつなぎの役目を果たしていると言われています
一昼夜おいたそばがきの水気を良く切り大豆を加えたそば粉の中に入れて硬く捏ねていきます
この時、水や他のつなぎの材料は一切加えません
捏ね上がったら麺棒で延ばし、切ってから夏で五時間、冬は一昼夜なま舟などに入れて寝かせておきます
時間をおくことによりそばは飴色になりコシが強くなります

津軽そばは、箸で持ち上げると切れてしまうほどやわらかいのが特徴のそば。日持ちを良くするために「煮置き(麺をゆでて冷やす)」をするという工夫を加えた結果、コシがない津軽そばが完成したそうです。”津軽そば”は汁物をすするように食べるのが、そのスタイルのようです。
確かに、柔らかいそばでした。

「青森県文化観光資源データ集」では、以下のようなな説明が(原文のまま)
津軽地方に独特の製法で作られる「津軽そば」は、そば粉を湯で練り上げたタネを冷水に浸し、摺りつぶした大豆(またはしぼり汁)とそば粉を加え再び練る。細めにそばを切り、生そばの状態で夏場は一晩、冬場は二晩冷暗所で寝かしてから茹でる。独特のコシの強さと大豆のほのかな甘みが特長。
江戸時代元文年間(1736~)頃より市内を売り歩く屋台そばがルーツといわれている。

2016年12月16日金曜日

そば紀行(19) 宮古そば権三郎 福島県山都地区

山都宮古地区の第2弾、権三郎さんです。

訪問のいきさつは、「そば紀行(18) 宮古そば大下 福島県山都地区」で記載した通りです。

山都宮古地区の蕎麦店8軒の中で、ホームページを独自で開設されているのは、権三郎さんだけではないかと思います。
(これとは別に、山都宮古地区の蕎麦店の概観を紹介しているページがあります。

権三郎さんでも、大下さん同様に、ソバを自家栽培しています。玄そば丸抜きは大下さんと同様ですが、見たところ、歩留まりは大下さんより多いのではないかと思います。よって、少しだけ透明感が減り、色のつき方が多いと感じました。星の数はあまり変わらないのですが。篩について詳細を伺えなかったのは残念です。
おかみさんが出て迎えて下った後は、ずーっとバックヤードに居られるので、ゆっくりお話しできませんでした。
権三郎さんでは、メニューがあり、付けていただく副菜により値段が変わります。私は、既に2軒目ですので、蕎麦中心の「おかみおすすめ夢見そば」というのをお願いしました。

権三郎さんの蕎麦も透明感のあるしっかりした美味しい蕎麦です。こちらでも、そば粉を分けていただきました。打ち方が書いてある紙も頂戴しました。
先日のお客さんは、自宅で打ったけど、繋がらなかったという連絡を貰われたそうです。なかなか、難しいけど、打ってみてと言われていました。
やはり、湯ごねでなければ繋がらないそうです。

権三郎さんで蕎麦を頂戴し終えると、既に、おなかはパンパンでした。もう無理です。





2016年12月14日水曜日

そば紀行(18) 宮古そば大下 福島県山都地区

1年越しで、とうとう宮古地区に、蕎麦を頂きに来ることができました。

昨年来、宮古に行ってみたいと思いながらも、宮古地区は山都駅から遠く、自動車が無いとなかなか行けない場所にあります。車があれば、そんなに遠くないので行けるのです。

最初に宮古に行こうと、山都駅に降りたのが、昨年の11月でした。山都駅前には何もなく、タクシーも居ませんでした。タクシーが居ないのは、たまたまだったようですが、この日は山都駅到着したら、すぐに宮古地区に向かわないと、帰れなくなるという状況でした。そのような折に、山都駅に着くとタクシーが居ないので、宮古地区への訪問を諦めました。
山都駅近郊にもいくつかそば屋があるので、山都そばをいただいて帰ろうと2店舗ほどお邪魔しました。この時に、山都駅近郊で行ってみたいと考えていた「蕎邑」さんはお休みでした。

2回目に山都を訪問したのは、今年の2月です。初回訪問時にお休みだった蕎邑さんへ伺うための訪問でした。この時は、最初から宮古地区への訪問は視野に入れていませんでした。真冬ですし、アポも取っていませんし、時間もないのが、その理由でした。蕎邑さんのことは、本ブログ(そば紀行(5)2016年2月7日)を参照ください。

はじめての宮古地区への訪問です。
宮古地区への訪問は、事前のアポ取りから始まりました。

入手していた山都そばの資料は、山都地区のHPから入手したものでしたが、その資料では12店舗が紹介されています。この資料を基に順に電話してアポ取です。ところが、「この電話は現在使用されていません。」というメッセージがいくつか。エッ、店を閉めているの?と。
最初に電話がつながった店舗では、「12月の初旬では、もう店を開けていない。」という返事。2店目に繋がった先は、「一人では、店を開けられないな。」と言う返事。トホホです。
やっとアポ取できたのは、「大下」さんでした。快く、「一人でも開けますよ。」とのことです。
折角行くのに、一店ではもったいないと、続けて数店舗に電話し、「権三郎」さんで、「どうしてもということであれば、店を開けます。」と言ったいただき、これで2店舗にアポが採れたのでした。

宮古に伺った際に入手した最新の店舗資料では、この地区の蕎麦店は、8店舗に減っていました。また、この後に伺った源三郎さんも、今年で店を閉めるかもしれないという情報を得ました。この地区も、高齢化で後を継ぐ方が減っているようです。

現在の残っている8店舗の中で、ソバの自家栽培をしているのは、「大下」「大上」「権三郎」さんの3店舗のみです。

大下さんで、おかみさんとお話しして様々な情報を収集しました。
大下さんでは、宮古の在来種と会津のかおりを栽培しているそうです。在来種は、川の西側で栽培し、会津のかおりは東側での栽培だそうです。その理由は、以前は東側でも在来種を栽培しいたが、収量が少ないのだそうです。それゆえ、今では東側では会津のかおりを栽培しているそうです。大下さんでは、会津のかおりは、山都のそば店や、山都のそば製粉へ出荷しており、お店では宮古在来種のみを提供しているそうです。今以上の収量は期待できないが、1年間店で提供する在来種は栽培可能だそうです。現在、2町歩のソバ畑で栽培しています。
大下さんの蕎麦は、宮古在来種の玄そば挽きぐるみで、歩留まり65%だそうです。

店に入ると、最初に、さしみこんにゃく、鰊の煮物、山菜と鰊の炊き合わせ、漬物が出されます。

その後、1盛り目は、蕎麦と辛み大根が供されました。この辛み大根は、自家栽培だそうです。元々自然に生えた大根(自生原生種の大根)を、現在は、畑の端の畑ではないところで栽培しているそうです。水気は無いですが、微妙に辛く香りがあります。初めていただきましたが、普通の辛み大根とは異なり、荒々しさを感じる美味しい大根です。
そばつゆは、青首大根の摩り下ろしを加えた、高遠そばつゆを基本として供しているそうです。私は、このつゆ以外に大根を加えていないつゆもお願いして、食べ比べてみました。高遠そばつゆの方が、甘みを強く感じます。青首大根により、美味しいつゆは一層美味しくに変身するのだということを確認しました。

お代わりの2盛り目は、蕎麦と野菜のてんぷらが出されました。3盛り目は、頃合いを見計らい蕎麦だけがだされました。その後は、「もう少し食べますか?」と問われ、「もうお腹いっぱいです。」と。本当は、まだ食べられるのですが、もう一店予約していたので、後ろ髪引かれながらもお断りしました。

蕎麦は、少し太めのしっかりした蕎麦です。透明感があり、玄そば丸抜きですので、少し点があります。初めていただいた宮古在来種玄そば丸抜きの粗挽き湯ごね蕎麦は、これまでに経験したことのない蕎麦で、本当に美味しい蕎麦です。久しぶりに美味しいと思う蕎麦を頂戴しました。

この大下さんで修業をされたお二人が、大下さんの下流でお店をそれぞれ開いているそうです。
そちらにも、そば粉を提供しているそうです。

大下(おおしも)、大上(おおがみ)、川前(かわまえ)等の宮古地区の蕎麦店の屋号は、川の下(しも)、川の上(かみ)、川の真ん中の前(まえ)などの意味であったそうです。また、この地区の集落は、以前はもう少し川の上にあったそうですが、天災があり現在の場所へ下ってきたのだそうです。
また、そもそも、この地域の蕎麦は、家庭内で食されていた蕎麦が、村の外へ広がり、山都町内へ広がって発展していったようです。山都地域で蕎麦を供するようになった初めのころは、宮古の皆さんが山都で変わり番でそばを打って提供していたそうです。それが、元の村に戻りそれぞれの店ごとに蕎麦を提供するようになり、現在の宮古地区の蕎麦店に発展してきたというお話でした。色々と面白い歴史があるのですね。

いくつかある宮古地区の蕎麦店で、大下さんへ伺えたのは、大々正解であったようです。引きが良かったのか?偶然なのか?神っているのか?とても良いお店に辿り着けたと感じています。大下さんへは、来年も、また来たいと強く思います。

この宮古在来種のそば粉を3kgほど分けてもらい、打ち方を教えていただいて店を後にしました。

長くなりましたので、権三郎さんのことは別途記載したいと思います。



そば前です
一盛り目は、原生種の辛み大根と高遠そばつゆで
お代わりは、野菜天ぷらと
透明感のある蕎麦は大変美味しいです