札幌そば研究センター

2017年11月29日水曜日

そば紀行(28)鹿落堂 仙台市

鹿落堂(ししおちどう)

仙台市都心部の南西、広瀬川の蛇行部に挟まれた経ケ峯にある伊達政宗を祀る霊廟である瑞鳳殿の東側に鹿落坂(ししおちざか)があります。霊屋下から太白区向山にまたがる坂道です。この坂の東には広瀬川、西には経が峯があるともいえます。この坂を霊屋下から登り切った右手に今日伺った鹿落堂(ししおちどう)があります。崖に張り付くように建つガラス張りの素敵なお店です。斜め向かいには、中華で有名なKUROMORIがあります。

暖簾もモダンで、店内も素敵なカウンター席があり、眼下には広瀬川の蛇行が良く見えます。店に入ると左手に手作りの日用品が並んでいて、正面はカウンター席とその奥にテーブル席。その左手には大きなそば打ち台があります。日用品の置かれた脇を二階へ上がると、そこにもカウンター席とテーブル席があります。デザイン性の高い店内で、このように洗練したデザインの中に居るのは、大変気持ちが良いです。
わたしは、この二階のテーブル席につきました。

メニューを見ると、十割蕎麦御膳、二八蕎麦御膳、板そば、かも南蛮蕎麦などが並んでいます。自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦御膳は、「鳴子川渡産、鬼首産の信濃1号、キタワセの玄そばを宮城の安山岩の石臼で粗挽きし、一番外の殻だけを取り除き細打ちしております。」とあります。また、手打ち二八蕎麦御膳は、「北海道産ぼたん、山形産常陸秋そば、でわかおり、もがみわせ、宮城県産あやめの品種を外殻を取り除きマル抜きにした物を石臼挽きしたそば粉に、北海道産キタノカオリの小麦粉を二割加えて手打ちしております。」と記載されています。

このメニューを見て、期待が増してきました。このこだわりは、期待できます。そばの産地、品種、管理方法、製粉とこれらが変わるとそばが変わります。色々とソバも探されているのだろうなと思います。原産地がこれだけ広いというのは、探し続けているのだろうと思えます。また、石臼の原石の品種にもこだわりがありそうです。

私は、自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦御膳という最も長いネーミングをお願いしました。待っている間に、店に展示されている手作り日用品を拝見しました。素朴で日々使いの日用品が並んでいます。また、レジの脇には、和菓子のテークアウトが置いてあります。くずもち、変わり種の小さなおはぎなどが。

このお店は、昼から15時まではそばを提供していますが、15時以降は、喫茶と甘味処としてお店を開いています。今日は時間が無いので、甘味処がオープンするまでは待てないので、変わりだねのおはぎ2個(1個は小豆、もう一つはクルミピーカンナッツです)を、テークアウトで予約です。実は、帰る頃には売り切れだったので、この判断は正解でした。後でいただいたのですが、クルミピーカンナッツは美味しかったです。ナッツ好きにはお薦めです??小豆は甘さを抑えた美味しいおはぎです。
帰宅後いただきました
そばが来ました。透明感があり、その中に玄ソバ挽きぐるみの黒い小さな点があり、かつ、粗挽きの粒感も兼ね備えています。大変おいしいそばです。
福島県喜多方の山都町宮古地区のそばが、玄そばをドラムで挽きぐるみして、歩留まり60%での製粉ですので、微粉を基礎に外皮が少しだけ入るので、透明感があり、小さな黒点と、コリコリとした食感があります。
これを基に考えてみました。石臼挽きですので歩留まりを下げて微粉を加えて透明感をだしています。また、コリコリ感は抑えているので微粉の量は減らしてします。挽きぐるみなので少々の小さな黒点がありという所は一緒です。ここに粗挽き粉の量を増やすというブレンド配分をしたような粉でできていると感じました。この最後の点が、大変効いていてオリジナルで美味しいそばをつくりあげています。水回しはもしかすると湯ごねかもしれないと感じました。
超お薦めのそばを提供されるお店です。


私がこれまでにこのそばは凄いなと感じた蕎麦は、平泉の地水庵さんの古典(超粗挽きそば)、前述の山都宮古地区大下さんのそばの二つです。この二つのそばは、そば粉の性質として全く反対のそば粉の性質を活かしたもので、全く異なるそばですがどちらも美味しいそばです。クリエーティブなそばという点でも大変興味深いそばです。この二つのそばに類似した美味しいそばはいくつかあります。この二つの両極端のそばに、三番目に新たに、鹿落堂さんの長いネーミングの「自家製粉手打ち十割挽きぐるみ蕎麦」が加わりました。最初の二つのそばとは趣を変えた美味しいそばを提供されます。そうです、今気づきました。「最初の二つのそばの真ん中を行くようなそば。」「二つの良いとこどりをしたそば。」とでもいうのが良いのかな???

食事を終えて階下に降りると、店主の兵頭さんが出てこられてお話することができました。大変お忙しい中厨房から出てこられてお話しさせていただきました。感謝です。

お話によると、やはり石臼はこだわられていて、このそば粉を挽くために作成依頼したものだそうです。また、こちらは私の「カン」が外れましたが、このそばは、水で打っているそうです。凄い方です。
また今度、ゆっくりお話しできそうな時間帯にうかがって、いろいろと教えていただきたいなと思いました。

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