札幌そば研究センター

2017年12月17日日曜日

そば打ち記録(72)石臼手挽自家製粉の超々粗挽き粉で生粉打ち(2回目)

石臼を左手で回して出てくるそば粉の香りは何ともいえません。製粉作業がそばの香りを最も感じられる時であることを石臼回し2回目の今回に感じました。
前回は、石臼をどこにおいて、粉をどんなふうに集めたらよいのとか、丸抜きをどの臭いの速度で入れればよいのか等考えながらでしたので、そば粉の香りを感じなかったのかもしれません。

淡い緑色の丸抜きを石臼にかけると、粉がジワーと湧いてきます。湧いてくるという表現が合いそうです。今回は、1回挽いた段階で20メッシュの篩にかけて、20メッシュを通らない粒を再度石臼で2度挽きしました。すると、歩留まり100%でした。20メッシュですので、粉の部分と、小さな粒の部分に分けられるような粉になりました。

この粉で生粉打ちです。
そば粉が630gに加水315mlを一気に加水して1分弱で水回し終了。そのままくくり、二つのそば粉の塊にしました。これを一つずつ丸くのして、2枚つくり、重ねて折ってそれを切ります。
茹でても切れません。そば切りです。

水回し1分弱でそばが打てるのです。江戸打ちが7分前後かけている意味がよく分からなくなってきてます。無駄ではないかと。
他のブログにも記載しましたが、論文では3分以内で加水作業は終わっているという報告があります。なぜ、あんなに長く、かつ、粒状になるまでやっているのでしょうか??
そちらは、段位試験用として、やらないといけないのかもしれません??

このそばは、これまでのそばとは別物です。
味、香り、食感、のど越し、舌触り等々、まったく違います。同じ量のそばを食べても、食べた感覚が無いのが「もりそば」です。おなかがいっぱいという感覚を得るには、それ相応のそばを食べることになります。しかし、このそばは、食べたなという感覚を与えます。食べているときに感じる穀物の感触が、そのように感じさせるのだと思います。

雑穀や玄米を好む方が増えてきています。まさに、ソバという穀物をそば切り(そばの麵)にして食す方法です。そばを雑穀として食す文化は、ロシア、ヨーロッパ、中国東部や山間部にあります。国により少し呼び名は変わります。その代表として、ソバのカーシャーという料理がロシアにあります。カーシャというのは、粥のことです。ソバ粥ということです。カーシャ料理は、ソバが有名ですが、他には米、黍、小麦のカーシャなどがあります。

国内では、山形の庄内地域にそばコメというものがあります。これは、そばの丸抜きをそのまま炊くので、コメの代わりにそばのコメという料理です。
その他に、一度ソバをそば粉にして、お湯で溶く「そばがき」がありますね。これは、日本の農村部でそば切り以前の食べ方として普及していた食しかたです。

そばの味や香りが知りたいなら、そばがきが一番良い食し方だと言われてきました。その通りであります。
このそばがきと今日のそばを比較してみます。

  • 香り;そばがき>超粗 
  • そばの味;そばがき=超粗 
  • そばの雑穀感;そばがき<超粗 

今回の超粗挽きのばは、雑穀が苦手の方には向かないそばです。また、そばを啜り、喉越しだけを楽しみたい方にも向かないと思われます。
そばを感じたい方、雑穀としてのそばを求める方、こよなくソバを愛する方にはお勧めです。また、玄米古代米や雑穀が好きな方には一度お勧めしたい物です。

二八そばと生粉打ちそばには、大きな違いがあります。生粉打ちそばと超粗そばには、二八と生粉打ちそばの違いの数十倍もの違いがあります。違いというより、まったく別の食べ物のように思えます。

そばを食べた!! という感触です。

丸抜きを少しずつ加えて回します
1回挽いて20メッシュ篩
左は篩を通った粉
右は残った粉
もう一度挽いて全て使用
歩留まり100%
切り終えたそば




その後に、2回ほど1.5kg生粉打ちで練習をしました。その際に名人にご教授いただいた内容で、忘れてはいけないことです。
1.丸のしの初期:左右の手はできるだけ広げた方が、てこの原理が使えるのでのし速度が速い。
2.丸のしは、手前から真ん中下までを前にのす。これで、麵体が前に滑りながら伸びていくし、のびるので麵体が浮くので回しやすい
3.麵体を動かす際に、ゆがみを補正できる。
4.丸のしは手前→真ん中前まで→麺体の端を通って戻るという手順。戻りは力を入れない。戻る時に、厚みの違いを感じる。
5.四つだし;真ん中を伸ばす(出しすぎない)→外から内に手を置く(力不要)(真ん中には触れない)
6.「回しのし」の力加減の感覚は、遠いところに手を伸ばして麺棒を回している感覚でよい。その感覚で麺棒を回すと、自然に麵体が伸びチジミして伸びていく。圧をかけたいときは手前仕事にする。手前だと手が体に近い分体重がかかるので自然と圧がかる。手で圧をかけない。
7.のしは、形を整えるのを最優先。
8.角は、前から、脇から調整すると整う。
9.真ん中のたるみ解消は、山を作ることで解消する。
と、たくさん抱えている課題の回答が得られました。感謝、感謝。

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