大下さんから頂戴したそば粉は、超微粉ですので湯捏ねでのそば打ちです。
1kgの粉に対して500mlの沸騰した湯を加えて素早く水回しです。その時間30秒くらいでした。1分はかかっていません。その後すぐに捏ねながら粉を少しずつくくっていきます。段々とそば粉が温かさとともに大きな団子状になってきます。少し水が足りないのでこの段階で少しの水を足しました。その後、耳たぶの柔らかさになるまで捏ねながら硬さを調整します。ここまで、3分程度です。
最初に、固まったそば粉の塊を1つにして江戸流の丸出しにしてみようと始めましたが、回りの部分が割れます。このまま、丸出しを続けてもそばにはストレスになることを再確認しました。そこで、塊を3つに分けて、1つずつを丸にのしました。これを3回繰り返して3つの丸くのされたもの作ります。ここまで、9分です。
これを3枚重ねて、2つにおり半円形になったものをまな板に置き、いつもと同様に切りました。最初は短いそばになりますが、2つ目からは食べに窮しないそばの長さになります。切り終えて、18分ですので、超短い時間で1kgのそばが出来上がります。まだ、切り終えたそばには、最初に加えたお湯の温かさが残っています。
これらの水回しから切るまでの方法は、昨年大下さんを訪問した際に店主と奥様に無理を言って見学させていただいた宮古地区のそば打ちの方法です。これで、美味しいそばになるというお話は、そばに無駄なストレスをかけないで、そば粉をそばにする方法ということでした。長い時間をかけて昔から山奥(失礼な表現ですが、本当に山の中なのです。現在進行形で道路拡張工事をあちら事らでやられています。これが出来上がれば便利になりそうです。)で打たれてきたそば打ちの方法です。もちろん、この地域でのそば打ちの文化は、江戸でのそば打ちが確立する以前から打たれてきた方法ですので、その歴史から学ぶことは多いと改めて感じます。
この地域のそば打ちを知ることで、やはり、江戸流の水回しは時間の無駄をしていると思われますし、丸のしから四つだしという工程は、そばにとっては迷惑千万な方法ではないかと思います。生粉打ち(十割そば打ち)の江戸流でのそば打ちが難しい(難しいというより、商売には不向きという意味合いの方が大きかった。扱いが面倒なのでつなぎを入れて切れにくくし、打つ場所が狭いのでそれを考慮し、加えて、捨てるそばが少なくなるように効率を考えて自然と現在のような打ち方)と言われ、そばがつながり難いのは、無駄な力をそばに与えているのが一因とも考えられます。
札幌新川そばの会では、生粉の江戸流打ちに耐えうるそば粉(平均して歩留まり60%以下のそば粉になるように(粗びきが加わらない)メッシュで篩う)を用いるので、生粉打ちでもつながることは、付け加えておきます。
1分で水はそば粉に回るのです。これは論文にもその記載を見出すことができますので、水が粉に回るには1分もあれば十分なのです。その後に加える水は、塊にするためです。その時間が少しかかる粉(粗挽き等は、水もたくさん必要ですし時間もかかります)や、まったく必要のない粉(通常にそばを挽いて、60メッシュ以上で篩い歩留まり70%以上あるようであれば難しくない)まで色々です。
江戸流のそば打ちの手順でそばをきれいに打つということと、美味しいそばをいつも打つということは、目の前にあるそば粉をどう打てば美味しくできるかという視点で考えると、別物のように思えてきます。
とは言っても、江戸流のそば打ちでしっかりそばを打つということは、段位認定にはその型をしっかりできるようになることを求められている以上は、それも必要ですし、それを否定することもありません。
目の前のそば粉は、それを植え育てて、刈り取り、製粉するという沢山の苦労の上に存在しています。それを頂戴して、そばに製麺する作業だけを受け持っているのですから、よりおいしくして食べてあげたいなと改めて思いました。そのような思いに至ったのは、目の前のそば粉を育てた大下さんから直接頂戴したからかもしれません。感謝・感謝です。
茹でたそばは、数日前に宮古でいただいたそばと同じようなそばになりました。美味しく頂戴しました。
ちゃんとつながり、そばになりました。 |
数日前にいただいたそばと一緒です。 |
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