札幌そば研究センター

2017年11月4日土曜日

そば紀行(26) 大下 山都町宮古地区 

今年も会津の喜多方市山都町宮古地区の大下さんへ新そばをいただきに伺いました。

今年のソバは昨年より収量が少なく、あまりよくないようです。東北地区は長雨があり、日照時間も例年になく少なかったのが原因であろうとのことです。
今年は、お隣のソバ畑も一緒に手入れしたそうです。この地域でも高齢化と過疎化が進み、ソバ栽培する農家が減ってきているそうです。今回一緒に手入れしたソバ畑の持ち主も高齢で、畑の世話ができなくなったことが原因だそうです。

一方で、在来種のそば粉を求める人は増えてきているそうで、山都と喜多方の間に店を出されたおそば屋さんからも、在来種そば粉をどうしても分けてほしいという話があるそうです。大下さんは、この地区でそば店をやりながらそば栽培している数少ない(確か3軒しかない)お店ですが、お店の方は大きくやっているわけではないので、収量の範囲でそば店をやることができているそうです。現時点では、在来種のそばを求められれば、在来種でそばを提供できているそうです。それも、現在の状況が精いっぱいで、これ以上店を広げるとそば粉が足りなくなるようでした。

山都地区のそばは、そば粉の製粉が独特で、ドラムで微細に玄そばを挽いて、歩留まりを60%程度で篩掛けするので、相当に微細の粉に玄そばの非常に小さな黒い星が少しだけ入る粉になっています。簡単なイメージとしては、更科系のそば粉に玄そば挽きぐるみの微粉のみを加えたような配分になっているのだと思います。一般的に、玄そばの挽きぐるみは、田舎そばと呼ばれ場合が多く、玄そばの黒さが目立つそばになりますが、この地区の製粉は、一般的な田舎そばにはならずに、上記のような更科+玄そば挽きぐるみの微粉のみというようなイメージですので、まったく異なるそば粉です。この地区と同じような製粉をしているのは、これまで伺ったそば屋さんでは山形県のそば切り源四郎さんです。
そば粉の性質から、水でのつなぎは厳しく、デンプンの固化を用いてつなぐ湯捏ねが主流です。

数年前から、大下さんからそば粉を分けえもらい、水で何度か挑戦しましたが、水でつなぐには相当の量の水を加えて、少しそのまま置いて、水がそば粉内に吸収されてからのすという方法でつながりました。しかし、やはり非常に切れやすいので、茹でる際には相当に気を使わないとバラバラになります。一方、前回訪問時に打ち方を見せていただいたような湯捏ねで四つだししない方法であれば、十分つながったそばとしていただくことができます。

今年は、製粉されたそば粉に加えて、玄そばも分けていただきました。この在来種の玄そばを1年間冷温で熟成させて石臼で自家製紛して試してみたいと無理を言って分けてもらいました。感謝、感謝です。来年には、どんな味になったかを報告しに行きます。
そばができるまでに
手作り刺身こんにゃく美味しいです 

透明感のあるそば
二皿目は天ぷらを出してくださりました
2玉もペロリでした

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