札幌そば研究センター

2017年2月8日水曜日

そば紀行(20) 野の庵 津軽そば 弘前市

野の庵は津軽そばを復活させ、提供しているお店と伺い、一度行ってみたいと思っていました。数か月前に予約して、今回の訪問となりました。

津軽そばは、平成9年に、野の庵の佐藤夫妻を中心に「幻の津軽そば研究会」が結成され、文献や旧家に伝わる製法を調査、実証しながら、昔ながらの「津軽そば」として復活させたそうです。

「津軽そば」は、つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うそうです。
藩政時代、庶民は普段からそばを食べる機会が多かったと言います。そばだけでは栄養がかたよってしまうので、タンパク質が豊富な大豆を使う独特の製法が生まれたのだと言います。
「津軽そば」は、一昼夜水に浸しておいた大豆を丹念にすりつぶし、その呉汁をそばがきに混ぜ合わせて生地をつくります。その生地を半日ほどねかせ、熟成させてから、そばを打つので、時間がかかるそばです。そのためか?食生活が豊かになったことから、手間ひまがかかる津軽そばは、戦後、一度消え去ったようです。

伺った日は、雪が前日に振った翌日でした。店に着くと店主の佐藤様が雪かきをされていました。到着が少し早かったので、まだ店は開店前でしたが、快く迎えて下さり、店に案内してくださいました。

やっと伺ったので、冷たいそばと、暖かいそばと両方を頂戴しました。
もりそばは、津軽そばではなく、十割そばを提供しているそうです。かけそばは津軽そばを提供しています。

もりそばを津軽そばではなく、十割そばとした理由は、用いているソバを、北海道の黒松内で生産されている在来種(たぶん、奈川在来種ではないかと?)にしてからのようです。そば粉に粘りがあるので、津軽そばにしなくてもつながるし、そばの香りも良いのでというのが本音のようでした。
暖かいそばは、津軽そばを提供しているそうです。
汁も、もりそば用は鰹節のみを用い、温そば用はその他に昆布、魚節と隠し味に煮干しも用いているそうです。
ゆで時間も、もりとかけで数秒異なるそうです。
かけそばは、柔らかいそばで、その柔らかさが津軽そばの特徴のようです。(下記の特徴を参照)
どちらのそばも、美味しくいただきました。








津軽そばの作り方は色々流儀があるようですが一つ製法を紹介したサイトがありました。
大きな鍋または釜に湯を沸騰させます
そこにそば粉を入れ、粒々がなくなるまでよくこねてそばがきをつくります
出来たそばがきを丼で一杯ずつすくい、塊のまま水の中に入れます
その状態で水の中に入れて塊の芯まで冷やしておきます
一方で一日から二日間ほど水に浸しておいた大豆をすり鉢でよくあたり水を少し加えます
これを別に用意したそば粉に入れて、手でよく混ぜ合わせます
この大豆が一昼夜置く間に程よく発酵してつなぎの役目を果たしていると言われています
一昼夜おいたそばがきの水気を良く切り大豆を加えたそば粉の中に入れて硬く捏ねていきます
この時、水や他のつなぎの材料は一切加えません
捏ね上がったら麺棒で延ばし、切ってから夏で五時間、冬は一昼夜なま舟などに入れて寝かせておきます
時間をおくことによりそばは飴色になりコシが強くなります

津軽そばは、箸で持ち上げると切れてしまうほどやわらかいのが特徴のそば。日持ちを良くするために「煮置き(麺をゆでて冷やす)」をするという工夫を加えた結果、コシがない津軽そばが完成したそうです。”津軽そば”は汁物をすするように食べるのが、そのスタイルのようです。
確かに、柔らかいそばでした。

「青森県文化観光資源データ集」では、以下のようなな説明が(原文のまま)
津軽地方に独特の製法で作られる「津軽そば」は、そば粉を湯で練り上げたタネを冷水に浸し、摺りつぶした大豆(またはしぼり汁)とそば粉を加え再び練る。細めにそばを切り、生そばの状態で夏場は一晩、冬場は二晩冷暗所で寝かしてから茹でる。独特のコシの強さと大豆のほのかな甘みが特長。
江戸時代元文年間(1736~)頃より市内を売り歩く屋台そばがルーツといわれている。

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