札幌そば研究センター

2016年2月28日日曜日

そば打ち記録(37) そば清で練習

2016/2/27(土) そば清にてそば打ち練習

本日は、札幌新川そばの会がお休みでした。お借りしているお店の展示会でした。

3月12日13日に長万部にて開催される次の大会に急遽参戦することになりました。

  1. 第7回素人そば打ち毛がに争奪団体戦道南大会
  2. 第3回団体戦対抗そば打ち選手権道南大会


そこで、団体戦をどう戦うか、どんな手順でそばを打つのか等々、札幌新川そばの会の名人が開いている東苗穂のそば教室に団体戦出場の4名が集まり練習しました。

審査基準は、それぞれ、
1.のカニ争奪戦は、競技時間が30分で、早さの順位とチームワークなどを審査となっています。
2.の団体戦は、段位認定大会の実施基準を参考にするとなっています。

最初は、カニ争奪戦だけの参加予定だったので、ほとんどお遊び状態での参戦の予定でしたが、いつからか団体戦も出ようということになり、出るからには恥ずかしい成績と言う訳にはいかないということで、練習しようということになりました。

団体戦は、4名が5分ずつ交代で出場して1kgのそばを打ちます。時間が決まっているので、それぞれの得意なところを受け持てばよいということになります。
札幌新川そばの会の団体戦での出番の順番は、Mさん→Tさん→Nさん→私と言う順になりました。私は、順調に進めば「本のし」と最後の「後片付け」が担当となります。

本日の練習で、4回やってみましたが、30分で何とか打てそうです。あとは、当日落ちついてやることと、各工程をしっかり時間管理して打ち上げることが重要です。そういう意味では、段位試験の時と同じでしょうか。そば粉も二八ですので、これも段位試験と同様です。

久々の二八でした。やはり麺をのすと戻ってくるのが良く分かります。グルテンの粘性は強いのを感じました。





2016年2月24日水曜日

そばとわたし(8) たまに、たまみろ   てうごかし、こなうごかず (そば打ち語録)

たまに、たまみろ てうごかし、こなうごかず

 今日も、札幌新川そばの会でそば打ちです。
  6月の暑い日です。まだ、夏は先ですが暑い朝でした。
 そば打ちの手順は覚え、流れでそばを打つことができるようになった頃でした。水回しが終わり、まとめに入り、いざこねはじめたときでした。

  会長曰く、
   「この玉貸してごらん。」
  会長、おもむろにそばの塊を包丁で真っ二つに。
  会長曰く、
   「あーーあ。これだもんな!!」
  私は、唖然、茫然。
  私曰く、
   「何が・・・。ですか・・。」
  会長曰く、
   「これ、見てごらん。」
   「混ざってないでしょう。」
  見せられたそばの塊を見て、私曰く、
   「白いところがありますね。」
  会長曰く、
   「これで、水回しが分かるね。」

 会長の、この突然の行動にビックリしていましたが、その趣旨がようやく理解でき、少し正気に戻りました。すると、隣のうち台に移動していき、隣の方のそばの塊を取り上げて、同じように真っ二つに切り裂きました。その切り口を、私のところへ持ってきて、

  会長曰く、
   「これを見なさい。」
   「このくらいに水が回らないと。」
  私曰く、
   「はい、本当に違いますね。」
  隣の先輩曰く、
   「・・・・!!!」
 
 私のそばの塊を取り上げて、見せてくれたまでは良いのですが、隣の先輩はいい迷惑です。突然のことで、隣の先輩は、会長のなすがままに何の抵抗もなく応じるほかなかったのだと思います。私にしてみればありがたいことで、水回しの状況が、こんなに違うのだということを確認できました。隣の先輩は、作業を止められ、そばの塊を寸断されたので、いい迷惑です。私は、隣の先輩にお礼を言いました。

 確かに、水回しがしっかりできていない状態でまとめに入ると、このような玉の状態になるのだと思われます。
 水回しの際の加水に関しては、前回の「いっきかすい」にて延べたとおりです。
 この日の水回しの問題は、私自身は、鉢の中で、一所懸命に粉と水をかき混ぜ、均一にと思ってかき混ぜているわけですが、どこに問題があるのか分からないということでした。

 篩ったそば粉に、水を加え、均一になれと思いながら混ぜているのです。それも、自身では結構早くかき混ぜているつもりです。手は、動いているけど、粉と水が混ざらないといいう状況がなぜ起こるのでしょうか。

   私いわく、
    「会長、手を動かしているのに、何故なんでしょうか?」
   会長曰く、
    「手を動かし、粉は動かず。」
    「だね!」
   手を動かしても、粉と水が動かずにいるのであれば、大変無駄な動きをしていることになります。ここでは、この現象を生んでいることを、最初に目に見えるレベルとして手の動きという視点で検討し、第二に粉と水の粒子レベルで検討します。粉と水を撹拌する関係を粉の中の構造レベル(澱粉量やタンパク質粒)で検討するということも重要であるので、これについては、また別の機会に検証します。
  
  さて、最初に目に見えるレベルで、どの様な手の動きに無駄があるのであろうか?
  そもそも、自身の手の動きがどのような軌跡を描いておるのか、その際にそば粉は、どの様な動きをするのかを考えたことが無かった。左右の手を鉢に入れ、指を立てて、混ぜ合わさるように、手を大きな円を描くように動かしています。自然とかき混ざっているかのような錯覚に陥り、これで善いとしてきました。改めて考えなおしてみると、この手の動きで本当に粉が均等に動くのであろうか?
  
  この事件?以降、YouTubeで名人という方々の水回しの映像を確認しました。水回しのVIDOはあまり多くなく、かつ、手や指先の動きを詳細に捉えた資料は少ない。名人の水回し映像は、皆さん、焦って手をかき回すというのではなく、加えた水に粉をまぶす様な作業に見えます。私の場合は、ただひたすら、早く手を大きく回すことに注力していたが、名人の動きはそんなに大きな動きではない。一つの例では、左右の手を内側から外側に大きく円を描くように回している場合。二つ目の例では、左右の手を真ん中から外側に向けて動かすが、その範囲は右手なら真ん中から右外側に、左手はその反対に、半分の範囲を一方の手が受け持つように手を動かします。左右の手のひらをこすり合わせる「揉み手」は、余り良くないので使わないとする映像と、それとは反対に積極的に使用する映像があります。指を粉の下に入れ、上に動かすことで「煽る手の動き」を多用している映像。煽り方には、これとは異なり、手前の粉を先の方へと持ち上げて送る動きの映像。このように、様々な手の動きをしています。ということは、手の動かし方に必ずこれでなければいけないという方法があるのではなく、色々と工夫して手を動かしているということになる(YouTube)。私の水回しは、手をやたら早く動かすことが目的であったようです。そもそもの目的である、水と粉を均一に混ぜ合わせる作業ということへの意識が足りなかったと思えてきました。

 Webで得られる情報には限りがあります。本当に見たいところにフォーカスされているとは限らない。そこで、色々な方の水回しの方法を確認してみたいという衝動に駆られました。そこで、昨年の夏に、「幌加内そば祭り」に出向きました。また、岩見沢で行われた「空そば祭り」にも伺った。幌加内では名人戦を見学し多くの高段位者が一緒にそばを打つので、その際の水回し方法を比較検討することができ、参考になりました。加えて、そば祭りに出店しているたくさんのそば同好会や愛好会の高段位者の方が、バックヤードでそばを打つところを見学させていただきました。ここで、前年の幌加内名人のH氏と出会うことができました。H氏には、その後も色々とご教授いただいており、大変感謝しています。これらで得た水回し時の手の動きに関する情報を次にまとめてみます。


水回しに関する情報のまとめ(順不同)

1. ただ単に手が早く動くことが重要ではなく、鉢の中にある粉が良く動くということが重要なのだと思われます。
2. 手を大きく使い、それに応じて粉も大きく動く方が多いと思われます。
3. 煽る作業や、揉み手は効率的に行われている。煽りや揉み手の比率は、その方により異なるようです。
4. 煽ることで、水と粉の混ざりが進んでいくように見え、揉み手で出来上がっているダマに粉をこすり合わせているように見えます。やはり、この二つの作業はやったほうがよさそうという結論です。
5. 特に、粉に水を加えて撹拌を行う最初の段階では、水と粉とをゆっくり混ぜ合わせている方が多く、私のように、一気に混ぜはじめる方はいません。これは、一気に指を入れてかき混ぜると指に水と粉が付き、その後の作業に支障を来すためと思われます。
6. 加水直後の手の動きを早くするという動きは、粉と水と指との接点を小さく短時間にすることを指しているのではないかと思われます。ただ単に手を早く回せば良いというのではなく、指が接する時間を短時間とし、かつ、粉が動くような動きを要求しているのだと思われます。
7. 最初の加水後の水と粉との混合の際の手と指の使い方と、2回目の加水以降に行う手と指の使い方、くくりに入る頃の手と指の使い方は全く異なると思われます。
8. 粉に加水し、混合開始段階では、鉢底に粉がこびりついているが、そこに水玉をこすりつけながら混合しているような手の動きをする方がいます。非常に効果的と思われます。これは、たぶんわざとそうしているのではないかと思われます。そうすることで、この方の水回しは非常に早いとかんじました。

 第二に、そば粉の組成成分と水の分子レベルで、粉と水の混合を検討してみます。そば粉は、12~13%のタンパク質を含み、その6~70%が水に溶けやすい水溶性タンパク質です。そば粉十割の手打ちのそば切 りは、「湯ごね」 と呼ばれるように熱湯を原料粉 に加えて澱粉の一部を糊化 させ、糊 の力 によって生地を形成 させる手法が昔か ら行われて きています。し し、熟 練者 は熱湯を用いずに水を使用する場合 もあります。従 これは、そ ば粉中に多く含 まれ る水溶性 ンパ ク質の粘性 を巧みに利用 した技法 であ るとされてきました(1980 藤村 和夫)。


 その後、確かな数字は不明ですが水溶性の多糖類がタンパク質の10%程度存在し、多糖類の水溶性物質が水に溶けつなぎの役割をし、そばの粘性にはこの水溶性多糖類(Galactose60% 上で最も多く、次 いでXylose Mannose 順)が、水溶性タンパク質より大きく関与していることが示されました(1991 大日方 洋)。しかし、水溶性タンパク質と水溶性多糖類の粘着性は付着力はあるが、麺体形成力までの強い粘着性では無いので、大変弱い粘着力でつながります。したがって、そば粉の間に均一に水を加えて、水が水溶性タンパク質と水溶性多糖類に行き渡らないと両者の粘性が発揮されず、つながらないことになります。これと同時進行で、そば粉が水に触れるとすぐにこれらの水溶性物質が水と結びつき、水を通しにくい層をつくってしまいます。すると、この層の内側には水と触れないタンパク質や多糖類が存在する事になります。この水を通しにくい層は弱い力で壊れるので、軽く撹拌するとほぐれ、層の内側の物質も水と触れることができるようになします。しかし、この時に強い力が加わると、部分的に圧縮され塊となり、層の表面に水と多糖類との幕が覆い、その中に水が入らなくなります。この状況では、その層の内側の物質には水が触れずに塊となって存在してしまう。この塊は水を含まないので、蕎麦麺が切れる原因となります。よって、そば粉に加水したら、そば粉に力を加えて硬い層を造らない様に軽く撹拌することが重要になります。
 
 この原理から、大久保(2002)は、十割そばを家庭で家庭の用具を用いて水回しする方法を示しています。一つは、指を使わず棒を用いて撹拌する方法、二つ目に粉と水をタッパに入れてシュークする方法、三つ目に粉と水をビニール袋に入れてシェークする方法です。棒を用いる撹拌は、指を用いないので指にダマが付かないので効率よく撹拌できる方法です、タッパまたはビニール袋に粉と水を加えてシュークする方法は、煽り手の連続で撹拌する方法であす。実際にこれで十割そばの水回しができることを示しています。鉢を用いた水回しでは、これらの原理を上手に活用することが出来れば良いということになります。これにより、加水直後の手の動きは、できるだけ水と粉と接する時間を短くすることです。煽り手は効率よく用いること。粉を水平方向だけでなく垂直方向へも効率よく動かすことが知見として得られます。
 このように二つの視点から見てきた水回し時の手の動きについての知見は、ほぼ同じようなことを示していることが判明しました。


 これらの知見を基に、少しずつ試しながら水回しを行うようになってきました。その後、いつの間にか、何が功を奏しているのかよくわかりませんが、札幌新川そばの会で提供されるそば粉であれば、蕎麦が切れることは無くなりました。また、切り終えた段階で、ごみがほとんど出なくなってきました。ただし、あくまで生粉打ちに良く合う札幌新川そばの会のそば粉であればという前提であります。

 
 話は時を巻き戻して、私は、会長に突然そばの塊を切られた隣の大先輩に御礼を言いました。私の真っ二つに切られたそばの塊を再度こねて、のして、切って蕎麦にしました。打ちあがった蕎麦は、打ち粉を払おうと持ち上げると、短い切れ端がバラバラと落ちてきました。切り終える頃には、二束ほどの短い切れ端がゴミとなって出来上がりました。でも、負け惜しみではないですが、この短い蕎麦も揚げて食べると美味しいですし、そのまま茹でて冷たい短いそばに大根おろしを乗せてぶっかけでスプーンで食べても美味しいのです。負け惜しみでした。



(参考文献)
1980 藤村和夫 そばの技3版 食品出版社
1991 大日向 洋 そば粉に含まれる水溶性粘質物の特性について 日本食品工業学会誌 Vol.38 No. 5 P 391-397
2002 大久保裕弘 誰でも打てる十割そば    農山漁村文化協会


2016年2月20日土曜日

そば打ち記録(36) 札幌新川そばの会

2016年2月20日

天候:曇り
気温:3℃

2月2回目の札幌新川そばの会でのそば打ちでした。
今日は午後から別途そば教室があるということで、会員の皆さんの出足が早い!!
9時前には打ち台が一杯になってました。

今日は、先週に続き、1.5kgと1.0kgの2回を打とうと思います。先週失敗した山都の粉は横に置いておき、札幌新川そばの会のそば粉で1.5kgを打ち、1月中旬に手に入れた中標津産のキタノマシュウを1.0kg打ちます。


<1回目>
そば粉:札幌新川そばの会のそば粉
品種:キタワセ類似種
製粉:2016年2月
重量:1.5kg
加水量(率):700ml(46.7%)

<2回目>
そば粉:中標津 若森アグリ産 有機栽培
品種:キタノマシュウ
製粉:1月中旬
重量:1kg
加水量(率):530ml(53%)

先週に続き1.5kg+1.0kgですので、1.5kgの感覚は少し戻っていました。1.5の粉の量にはだいぶ慣れ、2回目の1.0kgだと、以前の500gを打っているような感覚になります。会長が云われる、「1.5kgや2.0kgで打ちなさい。」というのは、その通りです。1.5kgを打つことで、1.0kgでは考えなくて良いことを考えます。これが次の1.0kgを打つ時の参考になります。

キタノマシュウは前回同様に少し加水量が多かったという印象です。また、こねの段階でのそば粉のまとまりは、前回よりは良かったようです。

前回のキタノマシュウは少し切れやすい状態でしたが、今日はそれほどでもなく、少し学習した効果があったようです。
夕飯に、もり蕎麦と天ぷら蕎麦で楽しみました。

2016年2月16日火曜日

そば打ち記録(35) 札幌新川そばの会

2016年2月13日

天候:曇り
気温:6℃ (2月とは思えない暖かさ)

2月最初の札幌新川そばの会でのそば打ちでした。
昨年は、1月はお休みでしたので、2月最初の会が年の最初の会でした。今年は、既に3回目と機会が増え、ありがたいことです。

今日は、福岡に住む妹からのオーダーで、1.5kgを最初に打って、本日中の航空便で送るというのが第1ミッションです。1.5kgを打つのは久しぶりです。昨年の秋口には1.5kgで打ちました。10月以降からは、教室のそば粉以外で打つ事にチャレンジしようと難しそうなそば粉を求めて東北に赴き、色々な粉を入手してチャレンジして来ました。この期間では、最初に教室の粉1kgで試して、その後に別の粉で打つという作業を繰り返してきました。その中で、唯一蕎麦にして食せる状態に出来なかったのが、福島の山都で購入したそば粉でした。今日は、1.5kgの送付用のそば打ちと、山都のそば粉でのそば打ちに再チャレンジが目標です。

<1回目>
そば粉:厚田産
品種:キタワセ類似種
製粉:2016年2月
重量:1.5kg
加水量(率):730ml(48.7%)
打ち時間:60分

久々の1.5kgですが、特に問題なく打てました。地のしで直径70cmまで持って行けたので、その後の丸のしが楽でした。問題は、四つだしでした。最初の側を上下で出して、対角線側を出して反対側に入ろうと開いた際に、結構良い感じで4ツ角が出ていました。まだ最後の角をのところをやっていないので、迷いながら最後のところも巻いたのですが、これが失敗の基でした。少し歪んでしまい、肉分けで整えるのに時間がかかってしまいました。機械的にやったのが良くなかったようです。
その後、のし過ぎに気を付けながら、1.3mmまでのしました。これを切り、4つのプラスチック大型弁当箱に詰め、ラップをして、送れる状態にして終了です。

<2回目>
そば粉:福島県山都産
品種:会津のかおり
製粉:2016年2月
重量:1kg
加水量(率):570ml(57%)
打ち時間:65分

再チャレンジ山都のそば粉です。今日のそば粉は、蕎邑さんで分けていただいたそば粉です。篩うとスーと粉が下に落ちました。この経験は、前回の山都のそばで経験した状況と同様です。よほど粉が含む水分が少ないのか、あるいは、粉が細かいのかのどちらかだと思います。そもそも山都そば粉には決まりがあり、歩留まり66%以下とあります。1,2番粉が中心の粉で、透明感があるが更科とは異なり、2番粉まで入っている粉です。ですので、ただ細かなそば粉というわけではないと理解しています。前回の山都のそば粉は粗挽き粉は入っていませんでしたが、今回の蕎邑さんのそば粉は粗挽きも含んでいると聞いてきたので、少し驚きでした。これらの状況を考えると、やはり、水分含有量が少ないのかもしれないと考え、水が多めに入るかもしれないと意識してのそば打ち開始でした。山都では湯のししているとのことでしたが、今回は再チャレンジでもあり水で挑戦です。と言うより、湯ごねはやったことないので。
水回しを開始し、500ml入ったところで、教室の粉ならこの程度であればまとまると思い、ここでまとめに入りました。しかし、軽くこね始めると、反対側が割れます。ここで、大先輩のK氏から、「水がたりないね!」と、アドバイスをいただき、一度崩して再度加水、もう一度加水と水を加え70mlほど入りました。しかし、追加の水ですので、粉の中には入りこみません。何とか割れは回避できるところまで来ました。
のし始めると、少しサメ肌状態になり切れそうな前兆が出てきました。のしながらこねて、それらが見えるところをツルツルに修正してのし上げました。この方法は、新川の名人K氏や一昨年の幌加内名人のH氏からご教授いただいたのし方で、実践で試して出来たのは今回が初めてです。これは良い経験でした。妙な自信が付きました。これで、切れないような麺に修正しながらのすことが出来そうかな!! 忘れないようにしないと!!

切り終えたそばは、蕎麦麺として成り立っていました。前回は、切り終えてつまみあげると切れましたが、今回は大丈夫でした。また、茹でても切れなかったので、再チャレンジはかろうじてクリアーでした。もう1回試せるので、次回は、水の量に注意して打つことにします。

教室のキタワセ類似種
蕎邑さんそば粉;会津のかおり
会津のかおり;粗挽き粉近景

2016年2月7日日曜日

そば紀行(5) 福島県 山都 蕎邑 と 会津若松市 桐屋

昨年11月に山都に初めて行きましたが、お目当ての蕎麦店がお休みでした。加えて、その際に購入した山都産のそば粉を購入しました。これを昨年末に打ちましたが、そば切りになりませんでした。水を70%近く入り、その後ねりでもひび割れし、最終的には麺に切りましたが、ボロボロと切れ、麺になりませんでした。同様に山形で購入した粉等々、様々な粉でのそば打ちを、昨年秋から末にかけて試みましたが、唯一蕎麦にならなかった山都のそば粉でした。
前回行けなかったそば店への再訪問と、唯一蕎麦に打たせてくれなかった山都のそば粉でのそば打ちへの再チャレンジという強い動機が、今回の山都再訪問の理由でした。

山都地区は、会津若松から電車で30分ほど新潟寄りです。訪問前は、すごい雪なのだろうなと想像しての訪問でした。しかし、予想は大きく外れ、雪はあまりなく、かつ、天気が良く暖かい日でした。前日降った雪がすっかり融けています。あまり天気が良いので、山都駅からは全て徒歩での移動にしました。ゆっくり小さな街中を歩いて。



最初に訪問したのは、前回お店は営業していましたが、パスしたお店「萬長」です。
お店に入ると、TVがついていて、NHKのNewsをやってます。日本は、何処に行っても同じだなつくづく思います。
メニューには、ランチ定食や丼物が先に現われます。そばメニューはそれを1枚めくると出てきました。メニューを見なくても、もり蕎麦なのですが一応確認です。そば店の資料には、1日20食限定の蕎麦とありましたが、メニューには掲載がなので伺ってみることに。
「限定蕎麦は、寒晒し蕎麦のことで、今はまだ出ていません。」とのことでした。寒晒し蕎麦であれば、3月以降ですので、それはあたりまえです。ということで、特別な蕎麦は無いので、予定通りのもり蕎麦をお願いしました。


山都産のそば粉を、製粉所から仕入れているそうです。歩留り70%以下が山都そばの決まりですので、その範囲の歩留まり率の蕎麦だと思います。
そばの太さは1.5~1.7mmのそばで、茹では堅めです。これがスタンダードの山都そばの味と香りなのかと思いながらゆっくりいただきました。汁は付けずに半分頂きました。会津のかおりは、こんな感じなのだという印象はつかみました。特段、香りがつゆいわけではなく、甘みが強いわけではなく、喉越しに特別な印象を与えるわけではありません。キタワセをいただく機会が多い私ですが、キタワセより特徴が無い蕎麦だなという印象です。
つゆは、鰹と昆布に何か他の節を加えた混合だしをベースにしているのかなと思われます。これは、お店の方に聞いたわけではないので、あくまで私の印象です。

萬長を出て、近くにある山都地区唯一のお菓子屋「宇太郎」へ。前回の訪問の際に見つけて、「蕎麦クッキー」を購入。素朴な品ですが美味しいお菓子でしたので寄ってみました。有りましたので、今回も「蕎麦クッキー」をゲットしました。



さて、宇太郎をでて、今日のお目当ての「蕎邑」へゆっくり歩いて向かいました。道の途中に山都商工会議所があり、3月開催予定の寒晒しそば祭りのポスターを掲載していたので伺って、お話を聞いてみることにしました。お昼時でしたので、1名の居残りの方が居られて、親切に対応いただきました。寒晒しそば祭りには大勢の方が訪れるそうです。甘みが増すということで、美味しいですよと言われてました。そば店のことや、製粉所のこと等について情報収集です。山都地区のそば粉を最も多く扱っている製粉所の情報を得ました。山都産そば粉の購入も可能になりそうです。

いよいよ、蕎邑到着です。暖簾が出てます。やってます。実は、数日前に今日訪れることを連絡しており、お店は開いていることを確認済みでした。前回学習しましたので。

お店に入ると、お客が誰もおらず独り占め状態です。前回訪問の際の事について話し、札幌から伺ったこと、どうしても一度伺いたかったこと等々、色々とお話しすることができました。そばを待つお客さんが、そば打ちを見学できるように、客席から打ち台が見えるような作りです。これは、先日伺った仙台市の古拙と一緒です。

メニューには、そば料理のみの記載です。もり蕎麦の隣には、高遠蕎麦がありました。大根つゆで頂くもり蕎麦です。やはり、つゆも確認したいので、もり蕎麦にしました。コミック「そばもん」がきれいに並んでいます。その他そば関連の雑誌がいくつか陳列されています。

もり蕎麦があがってきました。折角遠くからお越しいただいたのでということで、大盛にしましたからと、大盛をいただきました。これは、ありがたいですね。





そば粉は、山都産の「会津のかおり」の石臼自家製粉です。篩は手篩でやっているそうで、結構大変ですと言われてました。また、「うちのそば粉は、粗挽きです。」と言われていました。
蕎麦の状態をよく見ると、甘皮が少し入っていますが、全粒粉で無篩ではこんなに少ないことは無いので、甘皮が入る篩目の粉を一定量加えてブレンドしていると思われます。
麺は、堅めに茹でています。太さは1.2~1.4mmです。
先ほどの「会津のかおり」とは明らかに異なります。香りがあり、そばの甘みも感じます。何より喉越しが大変良い引っかかりがあります。ザッパク感があるというこです。これは大変美味しい蕎麦です。キタワセの篩目を大きくした蕎麦で味わえる蕎麦に近いです。粗挽き粉をどの程度加えるのかが重要なポイントなのだと思います。大盛でしたが、あっという間にいただきました。
辛汁は、本かえしと宗田節のみでひいただしで造るそうでそう。甘汁はいくつかの節をブレンドしてだしをひいているそうです。辛汁は宗田節のみのだしですので、アミノ酸の旨みが後に尾を引く汁になります。汁に関しては、もう少し切れがある方が良いのではないかなと思いました。

大盛の御礼を云い、そば粉を2kgほど分けてもらいました。今度、山都産粗挽きそば粉でそば打ちにチャレンジできることになりました。私のリュックには2kgが加わり、少し重くなったリュックを担いで山都駅に向かいました。

山都を後にし、会津若松に電車で戻っています。会津若松では前回訪問した桐屋の中で「桐屋権現亭」に伺ってみようと思います。前回は、「桐屋夢見亭」に伺いましたので、別の方の店へ行くことにしました。桐屋は唐橋さんのお店です。唐橋さんは全麺協の全国審査員でもあり、そば店主として様々な活動をされており、その活動が色々なところで取り上げられている大変著名な方です。前回はお会いすることができず、今回はもしいらっしゃれば、ご挨拶していこうと思ってました。会津若松駅に着き、一度電話してから伺おうと思い、連絡してみると3時までですと言われ、残り1時間でした。また、唐橋さんも店に居られるということで、是非伺いますと伝えて、駅から早歩きでした。店構えは、風情があって素敵な外観です。中には囲炉裏がありました。


前回は3種盛を頂戴したので、今回は十割そばの2種をいただくことにしました。会津頑固蕎麦と会津のかおりです。水蕎麦は会津頑固蕎麦ベースで量は半分なので、それをお願いし。もり蕎麦は、会津のかおりの十割そばにしました。

水蕎麦は、田舎蕎麦の会津頑固蕎麦を井戸水の中に入れた状態で提供され、このままいただきます。水独特の香りと味とが無く、すっきりとした井戸水です。この中に頑固蕎麦が入っています。蕎麦は香りがあります。甘みはあまり感じません。喉越しは、十割のもり蕎麦とは違い、水を含んだそばの喉越しなので、水の喉越しが優先されて、ツルッとした喉越しになります。喉越しが、もり蕎麦と水蕎麦の大きな違いだと思います。また、辛汁を使わないので、喉を通った後はそばの香りと水の残り香です。





会津のかおりの十割蕎麦は、ボリュームがあります。頑固蕎麦に比べると、香りが少ないと感じます。甘みはあまり感じません。本日最初にいただいた萬長の「会津のかおり」に比べると、香りを感じ、喉越しのザッパク感を感じます。甘みは変わらないと思います。



食事が終わると唐橋さんが店に出てこられました。ご挨拶し、今年の全国大会のことや、3月のいわきでのそば講習会のことなど、色々とお話しできました。北海道との関わりも深く、今年も北海道のそばの大会には出向いて来られるそうです。面会いただき感謝感謝です。最後にそば茶と絵葉書を頂戴しましました。ありがとうございました。