札幌そば研究センター

2016年2月7日日曜日

そば紀行(5) 福島県 山都 蕎邑 と 会津若松市 桐屋

昨年11月に山都に初めて行きましたが、お目当ての蕎麦店がお休みでした。加えて、その際に購入した山都産のそば粉を購入しました。これを昨年末に打ちましたが、そば切りになりませんでした。水を70%近く入り、その後ねりでもひび割れし、最終的には麺に切りましたが、ボロボロと切れ、麺になりませんでした。同様に山形で購入した粉等々、様々な粉でのそば打ちを、昨年秋から末にかけて試みましたが、唯一蕎麦にならなかった山都のそば粉でした。
前回行けなかったそば店への再訪問と、唯一蕎麦に打たせてくれなかった山都のそば粉でのそば打ちへの再チャレンジという強い動機が、今回の山都再訪問の理由でした。

山都地区は、会津若松から電車で30分ほど新潟寄りです。訪問前は、すごい雪なのだろうなと想像しての訪問でした。しかし、予想は大きく外れ、雪はあまりなく、かつ、天気が良く暖かい日でした。前日降った雪がすっかり融けています。あまり天気が良いので、山都駅からは全て徒歩での移動にしました。ゆっくり小さな街中を歩いて。



最初に訪問したのは、前回お店は営業していましたが、パスしたお店「萬長」です。
お店に入ると、TVがついていて、NHKのNewsをやってます。日本は、何処に行っても同じだなつくづく思います。
メニューには、ランチ定食や丼物が先に現われます。そばメニューはそれを1枚めくると出てきました。メニューを見なくても、もり蕎麦なのですが一応確認です。そば店の資料には、1日20食限定の蕎麦とありましたが、メニューには掲載がなので伺ってみることに。
「限定蕎麦は、寒晒し蕎麦のことで、今はまだ出ていません。」とのことでした。寒晒し蕎麦であれば、3月以降ですので、それはあたりまえです。ということで、特別な蕎麦は無いので、予定通りのもり蕎麦をお願いしました。


山都産のそば粉を、製粉所から仕入れているそうです。歩留り70%以下が山都そばの決まりですので、その範囲の歩留まり率の蕎麦だと思います。
そばの太さは1.5~1.7mmのそばで、茹では堅めです。これがスタンダードの山都そばの味と香りなのかと思いながらゆっくりいただきました。汁は付けずに半分頂きました。会津のかおりは、こんな感じなのだという印象はつかみました。特段、香りがつゆいわけではなく、甘みが強いわけではなく、喉越しに特別な印象を与えるわけではありません。キタワセをいただく機会が多い私ですが、キタワセより特徴が無い蕎麦だなという印象です。
つゆは、鰹と昆布に何か他の節を加えた混合だしをベースにしているのかなと思われます。これは、お店の方に聞いたわけではないので、あくまで私の印象です。

萬長を出て、近くにある山都地区唯一のお菓子屋「宇太郎」へ。前回の訪問の際に見つけて、「蕎麦クッキー」を購入。素朴な品ですが美味しいお菓子でしたので寄ってみました。有りましたので、今回も「蕎麦クッキー」をゲットしました。



さて、宇太郎をでて、今日のお目当ての「蕎邑」へゆっくり歩いて向かいました。道の途中に山都商工会議所があり、3月開催予定の寒晒しそば祭りのポスターを掲載していたので伺って、お話を聞いてみることにしました。お昼時でしたので、1名の居残りの方が居られて、親切に対応いただきました。寒晒しそば祭りには大勢の方が訪れるそうです。甘みが増すということで、美味しいですよと言われてました。そば店のことや、製粉所のこと等について情報収集です。山都地区のそば粉を最も多く扱っている製粉所の情報を得ました。山都産そば粉の購入も可能になりそうです。

いよいよ、蕎邑到着です。暖簾が出てます。やってます。実は、数日前に今日訪れることを連絡しており、お店は開いていることを確認済みでした。前回学習しましたので。

お店に入ると、お客が誰もおらず独り占め状態です。前回訪問の際の事について話し、札幌から伺ったこと、どうしても一度伺いたかったこと等々、色々とお話しすることができました。そばを待つお客さんが、そば打ちを見学できるように、客席から打ち台が見えるような作りです。これは、先日伺った仙台市の古拙と一緒です。

メニューには、そば料理のみの記載です。もり蕎麦の隣には、高遠蕎麦がありました。大根つゆで頂くもり蕎麦です。やはり、つゆも確認したいので、もり蕎麦にしました。コミック「そばもん」がきれいに並んでいます。その他そば関連の雑誌がいくつか陳列されています。

もり蕎麦があがってきました。折角遠くからお越しいただいたのでということで、大盛にしましたからと、大盛をいただきました。これは、ありがたいですね。





そば粉は、山都産の「会津のかおり」の石臼自家製粉です。篩は手篩でやっているそうで、結構大変ですと言われてました。また、「うちのそば粉は、粗挽きです。」と言われていました。
蕎麦の状態をよく見ると、甘皮が少し入っていますが、全粒粉で無篩ではこんなに少ないことは無いので、甘皮が入る篩目の粉を一定量加えてブレンドしていると思われます。
麺は、堅めに茹でています。太さは1.2~1.4mmです。
先ほどの「会津のかおり」とは明らかに異なります。香りがあり、そばの甘みも感じます。何より喉越しが大変良い引っかかりがあります。ザッパク感があるというこです。これは大変美味しい蕎麦です。キタワセの篩目を大きくした蕎麦で味わえる蕎麦に近いです。粗挽き粉をどの程度加えるのかが重要なポイントなのだと思います。大盛でしたが、あっという間にいただきました。
辛汁は、本かえしと宗田節のみでひいただしで造るそうでそう。甘汁はいくつかの節をブレンドしてだしをひいているそうです。辛汁は宗田節のみのだしですので、アミノ酸の旨みが後に尾を引く汁になります。汁に関しては、もう少し切れがある方が良いのではないかなと思いました。

大盛の御礼を云い、そば粉を2kgほど分けてもらいました。今度、山都産粗挽きそば粉でそば打ちにチャレンジできることになりました。私のリュックには2kgが加わり、少し重くなったリュックを担いで山都駅に向かいました。

山都を後にし、会津若松に電車で戻っています。会津若松では前回訪問した桐屋の中で「桐屋権現亭」に伺ってみようと思います。前回は、「桐屋夢見亭」に伺いましたので、別の方の店へ行くことにしました。桐屋は唐橋さんのお店です。唐橋さんは全麺協の全国審査員でもあり、そば店主として様々な活動をされており、その活動が色々なところで取り上げられている大変著名な方です。前回はお会いすることができず、今回はもしいらっしゃれば、ご挨拶していこうと思ってました。会津若松駅に着き、一度電話してから伺おうと思い、連絡してみると3時までですと言われ、残り1時間でした。また、唐橋さんも店に居られるということで、是非伺いますと伝えて、駅から早歩きでした。店構えは、風情があって素敵な外観です。中には囲炉裏がありました。


前回は3種盛を頂戴したので、今回は十割そばの2種をいただくことにしました。会津頑固蕎麦と会津のかおりです。水蕎麦は会津頑固蕎麦ベースで量は半分なので、それをお願いし。もり蕎麦は、会津のかおりの十割そばにしました。

水蕎麦は、田舎蕎麦の会津頑固蕎麦を井戸水の中に入れた状態で提供され、このままいただきます。水独特の香りと味とが無く、すっきりとした井戸水です。この中に頑固蕎麦が入っています。蕎麦は香りがあります。甘みはあまり感じません。喉越しは、十割のもり蕎麦とは違い、水を含んだそばの喉越しなので、水の喉越しが優先されて、ツルッとした喉越しになります。喉越しが、もり蕎麦と水蕎麦の大きな違いだと思います。また、辛汁を使わないので、喉を通った後はそばの香りと水の残り香です。





会津のかおりの十割蕎麦は、ボリュームがあります。頑固蕎麦に比べると、香りが少ないと感じます。甘みはあまり感じません。本日最初にいただいた萬長の「会津のかおり」に比べると、香りを感じ、喉越しのザッパク感を感じます。甘みは変わらないと思います。



食事が終わると唐橋さんが店に出てこられました。ご挨拶し、今年の全国大会のことや、3月のいわきでのそば講習会のことなど、色々とお話しできました。北海道との関わりも深く、今年も北海道のそばの大会には出向いて来られるそうです。面会いただき感謝感謝です。最後にそば茶と絵葉書を頂戴しましました。ありがとうございました。

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