札幌そば研究センター

2016年1月5日火曜日

そばとわたし(3) てぬぐい せっけん (そば打ち語録) 

2016年1月5日 てぬぐい せっけん  (そば打ち語録)

 札幌新川そばの会でそば打ちを習い始めて2カ月ほど経過した時ですので、そば粉から蕎麦の麺に造り上げることができるようになった頃です。初めてお会いした先輩だと思われる方が、私に近寄ってきました。強面で、声も低い方で、最初は何を言われたのか分かりませんでした。一心不乱に、習いたてのそば打ちをしているので、思ったより集中していたのだと思います。そう言えば、会社での業務中に相当集中して業務を行なっている時に、稀に何か言われても気が付かないということがあります。認知科学的には、フロー状態(2006 Mihaly )である時です。

 この時も、そんな状態だったのだと思います。聞き返すと、大変不機嫌そうに、「蕎麦は食べ物だよ、髪が落ちて蕎麦に入ることもあるよ。」と言われました。「ハッ」としました。そうです、私の頭には何も覆うものがありません。ご指摘の通りです。蕎麦は食品です、清潔な状況下で造られるように管理するのが当たり前です。大学生の頃から会社に入ってからも、「薬」を扱うところに居るにも関わらず、そんなことにも気付けずにいることに恥じ入りました。

 ご指摘ただいた方は、札幌新川そばの会に所属する準名人の方でした。普段は、あまり多く話しませんが、短い言葉で相手に問うようにして指導してくださいます。これを切欠に、色々なことを教えていただきました。過去形で止めたのは、昨年末に逝去されたからです。後になって、分かったことですが、ご本人は一度蕎麦店を持った経験がるそうです。そのような方にとって、食品を扱っているということを意識していないことに、不信感を抱かれたのだと思います。

 このことがあって、そばを打つという行為は、食に関わっているのであると、改めて考えなおしました。そば打ちを始める前に、手を洗ったか?と問うと、家を出る際に洗いましたが、札幌新川そばの会に着いてから洗わずにそば打ちを開始していたこともありました。家からここまで、色々な物に触れているわけですので、そば打ちを始める前に再度手洗いすべきでした。当時、札幌新川そばの会の手洗い場所には、固形石鹸が置いてありました。結構古くから使用されていると思われるような顔をした石鹸でした。皆さんが毎回使用しているような石鹸とは思えない状態です。私も含めて、水洗い程度で済ませているのかなと思われました。その後、数回後のそばの会の際には、今風の除菌作用のある液体石鹸が手洗い場に現われました。良いことです。

 私の頭には、最初に学生時代に使用していた昔のバンダナが載りました。数回使いましたが、少し小さいので止めです。その後は、手拭いが載っております。頭全体をカバーできるので、帽子より良いと思われます。
 全麺協の段位試験では、手洗いや衛生への配慮に対する評価項目があります。その場限りとならないように、常に衛生に気を付けていたいと思います。

習慣になると気付かずにできるようになるので、私のそば打ちのルーティン(大リーグの一郎や、ラグビー五郎丸に代表されるルーティン)となるように、爪を切る、手を洗う、手拭いを被る、使用する道具は全て洗う(計量カップやタオル等)、拭く(包丁、駒板、麺棒、篩等)ことにしました。

 札幌新川そばの会では、そば打ち後に皆で、試食会を行います。試食をするので、その後に使用した食器などの洗いも必要になります。このときに使用するタオルもたくさん用意されています。タオルも、定期的に漂白をしてくださっています。皆様に感謝です。

 手を洗おう、手拭い被ろう、カップは洗おう、鉢は拭こう・・・。言い聞かせながら一つひとつ確認していくことで、習慣となるようにしてしまうのが得策です。
 すごく大切なことを教授いただいた、S準名人のご冥福をお祈り申し上げます。

(参考文献)
2006 Mihaly Csikszentmihalyi  Study guide for Flow: the Psychology of Optimal Experience Cram101

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