札幌そば研究センター

2018年12月28日金曜日

だしソムリエ1級取得

だしソムリエ1級というのがあり、膝の負傷でそばが打てない時間を使って、チャレンジしました。
だしソムリエ協会という団体があり、そこで認定しているものです。
3級から1級があります。3、2、1級とチャレンジして、1級のだしソムリエになりました。和のだしに限らず、中華、洋風のだしに精通(一応)していることになります。

中華や洋風のだしを取ることの難しさと比較すると、和のだしの簡単なことに驚きます。その分、和のだしでは、鰹節、昆布、魚、椎茸等々のだしの材料の製造に手間がかかっています。中華や西洋料理では、料理をする人(ここでは、以下シェフ)がだしを取るのに手間と時間をかけます。一方で、和のシェフは、だしをとる材料から簡単にだしを取ることができます。この差は、大変大きいと思われます。

和ではシェフの腕が無くても工程が簡単なので比較的上手にだしをとれます。中華や西洋料理では、そうはいきません。和のだしの凄いところは、材料を作る人がたくさんの手間をかけて用意してくれるので、その分、シェフは簡単にだしをとれることです。

それにもかかわらず、今の日本の家庭では、和のだしを取ることはあまりなく、化学調味料で簡単だしを用いています。最近では、高級だし(結構高価です)ということで売り込んでいる和だしの素も、沢山の化学調味料を使用しているので、何が本格だしなのか、本格のボーダーは何なのかと、混とんとしています。本格だしを飲んで、これが本当のだしの味と思い込んでいる方の多いことに驚きます。

そんな中、簡単に取れる本当の和のだしの文化を広めようという主旨で、だしソムリエ協会が旗を振り、ソムリエの資格付与という活動を通じて、だしの持つ良さを広げながら、商売をしています。資格制度は流行なのでやむを得ないと思います。だしの文化を伝える努力をされているところには敬意を表しています。

ここで学んだだしに関る「知」は、これまでにそば汁の研究で学んだ「知」を上回るものではありませんでした。しかし、だしを広く再確認するには良い機会だと思います。
それよりも、一般の家庭にだし文化を再確認してもらい、より良い食生活に回帰するには大変良い機会になるのではないかと感じますので、本協会の活躍に期待したいと思います。

そば打ち再開

そば打ちを再開しました。

6月の美瑛マラソンに参加し20kmを走り終え、白金温泉で一服していると、左の膝が腫れてきました。痛みもあり、これは不味いなと。

翌週に整形外科にて、半月板損傷と診断されました。最初の整形外科病院では、半月板損傷と前十字靭帯断裂と診断されたのですが、何かおかしいなと思い(一応医療系なので)、セカンドにて再診断してもらい、前十字靭帯は切れておらず半月板損傷となりました。
半月板損傷の現在の治療方針は、切除するより可能な限り保存することでオペ後の膝の保護を目指すそうで、切れている半月板を縫うことを優先し、縫えなければ切除するということでした。切除してしまうと、そこには半月板は再生しないので、経年とともに関節の骨が損傷し確実に変形性膝関節症になります。また、過度な運動は出来なくなるそうです。半月板を縫えるか否かは、手術時に観察して判断するということで、祈る気持ちでオペを受けました。結果は、半月板を縫うことができ、リハビリが上手くいけば運動もできることになります。
6月に負傷し、9月にオペ、12月の初めに階段の上り下りを開始してよいということになり、そば打ちも解禁です。

12月15日(土)の札幌新川そばの会に、半年ぶりに参加させていただき、そばを打ちました。手順等は覚えているもので、打つことは問題ありませんでした。
半年ぶりに嗅ぐそばの香りは新鮮でした。今年は、北海道のそばは天候不順で収穫量が激減しています。そんな中、生粉打ちのそばをいただけるのはありがたいことです。
翌週も、札幌新川そばの会に参加して打ちました。大晦日には、4kgほど打ち、知り合いに快気祝いでお配りします。

また、そばを打てるようになり、同時に、ジムでの運動も再開でき、健康のありがたみを感じています。まだ、膝は全快ではありませんが、無理をせずにリハビリをしていきたいと思います。
それと、オペで延期になった3段位試験が3月にあるそうなので応募しようと思います。


2018年6月24日日曜日

そば打ち記録(77) 自食用そば打ち

6月23日 札幌新川そばの会に久しぶりに参加しました。

自食用のそば1kgを打ちました。
久しぶりのそば打ちですが、まずまずです。

この1っか月はそば打ちをする機会がなく、本当に久しぶりです。打ち方や感覚はあまり衰えないのだということを実感しました。手に感じる触感等の記憶は、あまり忘れないようです。


今月初めのマラソンがトリガーとなり、つもり積もった膝への疲労が半月板損傷という事態を招いてしまいました。まるで、アスリートの発症状況のようで、無理がたたったようです。ただまっすぐ歩くのは、距離が短ければ何とかなります。止まったり、階段、伸ばしたり曲げたりは結構厳しく、そばも打てないかなと思いましたが、膝を使わずにだましだましですが何とかなりました。

6月10日に痛め、2軒の病院で確認してまらいました。1軒目では、前十字靭帯断裂兼半月板損傷と診断されました。2軒目では、前十字靭帯は切れていないで半月板損傷だけとの診断です。両病院共にMRIでの診断ですが、見え方が異なるようです。MRIでも見え方がことなるという情報はNetにもありました。

半月板は血行が行き届いていないので、自然治癒が困難なのでOpeになりそうです。できれば切除ではなく縫合してもらう予定です。すると、最低1か月の歩行困難となり、その後完全復帰に(運動できる状態)は、5-6か月かかりそうです。

8月末に予定されている3段位の試験は、パスします。また、来年3月に開催される大会にてチャレンジします。しばらくは、おとなしくして治療に専念します。

ということで、そば打ち自体がしばらくお休みです。その間は、だしの研究等(別ブログ)に時間を使う予定です。

2018年5月8日火曜日

(記録)つゆ造り(12) 辛汁と甘汁

先週末につけ汁とかけ汁を造りました。

使用食材は、本枯節(雄節と雌節混合)、宗田節、鯖節、ムロアジの厚削りと、真昆布、かえしです。かえしは4か月前に仕込んだもので、角館の安藤醸造の生醤油に、九重味醂、富士酢、甜菜糖で仕込んだものです。

水3000mlに真昆布を加え60度で1時間にて抽出しました。その後、節を加えて1時間煮だしました。この間に、約50%に煮詰めています。
このだしに、1/3の量のかえしを加えて消毒のために加熱して辛汁の出来上がりです。

残りの節と昆布に水を加えて、2番だしを作ります。これにかえしを1/10加え、酒、味醂で調整して甘汁の出来上がりです。結構2番だしが取れるので、十分だしの効いた甘汁になりました。2番だしでの甘汁造りは初めてでしたが、煮物に2番だしを用いる料理屋さんも多いので、チャレンジしました。かけそばに用いるには十分なだしでした。これまで、勿体ないことをしました。1番だしを引いた後は殆ど捨てていましたので。

先週末は、自宅でそば打ちでした。
石臼引きの超粗びき粉を50%、同じそば粉を自動石臼挽き機で挽いて60メッシュで篩ったそば粉を50%加えて打ちました。手引きの超粗びき粉100%のそばと比べると簡単に打つことができ、つながります。しかし、食感とそばの香りは落ちます。かけそば用には、丁度良いのかもしれません。

札幌・函館の佐吉屋さんの真昆布は良い昆布です
4種の節の厚削り

2018年4月23日月曜日

そば打ち記録(76) 1.5kg生粉打ち練習 

1カ月ぶりのそば打ちです。
自食の蕎麦はまだありますし、さし上げる約束をしていないので、久々ですが練習に徹することにしました。

1.5kg生粉打ちでの練習です。昨年のそば粉で、あまり保存状態のよくない厚田産そば粉で練習です。2回実施し、その後にもう1回再生そばでの練習と、3回練習しました。午前中だけですのでこれが限界です。

練習テーマは、四つだしの際に前後に転がすことで、より角を出すという作業を練習してみました。1か月前に教えていただいた方法で、麺棒を前後に動かしながら角を出していく方法です。

実際にやってきましたが、歪みが多くなり、角の作りがバラバラになってしまいました。ただ単純に力を加えずに回す方法の方が時間はかかりますが簡単です。これは大分練習しないと丁度良い出し方は出来ないなという感想でした。切りは太さを揃えて太めに切る練習をしました。

のしはムラがありました。
また、切り終えた麵の置き方が悪いのできれいにそろいません。課題の多い練習になりました。
また、2種間ほどそば打ちできませんので、3週間後に再チャレンジです。

2018年4月8日日曜日

新しい麵 たかむら麵 秋田発

秋田で江戸料理を提供する「日本料理 たかまむら」の高村さんが開発した「たかむら麵」をお土産用にして販売しています。秋田空港ANA FESTAの人気No1商品でもあるようです。

『たかむらギフト』を転載(秋田味商HP;http://www.ajisho.jp/SHOP/TM-10.htmlhttp://www.ajisho.jp/SHOP/TM-10.html
  • 秋田市の閑静な住宅地に佇む日本料理たかむら。店主の高村宏樹氏は江戸料理の名店として知られる東京・目白の「太古八」で修業を重ね、24歳の若さで板長を任される。28歳で独立を考える中「看板に頼らず挑戦したい」と1999年、故郷の秋田市内で「たかむら」を開業。「秋田発の最高の日本料理を目指したい」という高村氏の創り出す繊細な料理に地元客はもとより国内外からも美食家達が訪れている。飲食店レビューサイト「食べログ」では北海道・東北エリアでナンバー1の点数を獲得(29年4月調べ)、予約の取りにくい会員制の店としても知られている。また、2016年には農林水産省が認証する料理人顕彰制度「料理マスターズ」を受賞。2017年5月から運行予定のJR東日本の豪華クルーズトレイン「四季島」の料理人としても選出され、日本を代表する料理人の一人と評価されている。そんな「日本料理たかむら」の味をご家庭でお楽しみいただけるのが「たかむらギフト」です。本品「たかむら麺・比内地鶏と鰹のつゆ~柚子風味仕立て~」は、たかむらオリジナルの「たかむら麺」とつゆをセットにした二人前のセットです。

先日「日本料理たかむら」に伺った際に分けていただいた麵を茹でてみました。
平麺にぎばさが練りこまれています。もりそばでいただいてみました。

そばではなく、うどんでもなく、ラーメンの麵でもない新しい麵というカテゴリーが、まさしく「たかむら麵」の位置づけであることを確認しました。

これほどののど越しの良い麵はないし、食感も独特です、何に似ているというのではない独特の食感です。あえてこんな感じというのを言葉にすると、「稲庭うどんにこんにゃくを加えて練り上げたような食感で、そばのように茶色く星が入ったしっかりとした麵」とでもいうようなものでしょうか?


高村さんにいただいた、たかむら麵の調理例にある、たらこカルボナーラにも合うというのが頷けます。たぶん、乾麺のパスタ用の麵より美味しいのではないかとも思われます。
この食感はその他のどの麺料理にでも合うのではないかと思えます。これを細麺にしてトンコツスープのラーメンでも良いのでは?という感じの独特の食感の麵です。

次回は、パスタ代用として試してみます。

2018年3月25日日曜日

そば打ち記録(75) 自家製紛粒挽きそば粉 を オヤマボクチで打つ

昨年から続いている、丸抜きを自家手引き石臼製粉し20メッシュで篩った超粗びき(粒挽きという方が合いそう)粉を、何とかして「そば切り」にという試みが続いています。

前回までは、水や湯を用いてのチャレンジを行い、湯捏ねであればなんとか麵にはなりますが、その長さは最大で25cm程度であり、折り返しで殆どが切れるという状態です。少しだけ吸い込むことができる長さですが、もう少しつながらないかという思いがあります。そこで、長野県の県北地域で昔からそばのつなぎに用いられていて、無味無臭でそばの香りや味に影響しないという謳い文句の、「オヤマボクチ」を探して取り寄せました。これを用いてそばを打つことにチャレンジです。

オヤマボクチは、キク科ヤマボクチ属の多年草でアザミ類ですが、山菜として「ヤマゴボウ」と称されています。根は漬け物にするなどして食べられています。また、氷餅の副原料として利用するほか、草餅や笹団子の原料として、ヨモギの代わりにオヤマボクチの葉を用いることもあるそうです。

信州のそばで幻のそばに 「富倉そば」があります。飯山市富倉地区に伝わる伝統のそばで、その美味しさには定評があります。富倉は、飯山と新潟県の新井を結ぶ国道202号線沿いの部落です。「富倉そば」は、ヤマゴボウ(山牛蒡)の繊維をつなぎに使った色の濃いそばで、このつなぎを使うことでそば粉の味が変わらないため十割そばのような香りと、つなぎ入りそばの喉ごしの良さを同時に味わえ、シコシコとした独特の歯触りがあります。このヤマゴボウがオヤマボクチです。

オヤマボクチの茸毛(じょうもう)と称している葉の繊維を使います。 葉の太い葉脈を抜き、手で揉んでは干しを繰り返して、残った繊維を取り出し、灰汁(アク)抜きをして乾燥させたたひとつまみをつなぎに使っています。

探し当てたオヤマボクチは、この大変な作業を終えて「すぐに使えるオヤマボクチ」として販売されています。JA長野の関連で「おたり山菜の会」という組織でオヤマボクチを栽培、処理して、そのまま加えることでオヤマボクチとして使用できるものを開発し販売してます。ここに連絡し、オヤマボクチを分けていただきました。これを用いてのチャレンジです。


オヤマボクチを用いたそば打ちの説明書き通りにやってみようということで、記載の通りに実施です。ただし、分量は説明書きの倍量で1kgのそば粉に5g(2袋)のオヤマボクチを用いました。最初にオヤマボクチを戻す湯の量も説明書きの倍量です。

実際にやってみて、この最初の量のお湯に戻されたオヤマボクチでは、粉がまとまりません。よって、追加の水を加えるのですが、湯捏ねの要領で始めたので、その後の追加の水がそば粉に入っていきません。名人が隣で曰く「湯捏ねなら湯量が少なすぎるし、普通の水回しをするのであれば、最初にまとめすぎなのでこれ以上水が入っていかない。」「どうしようもないかもね?」ということです。それでも諦められないので、少しづつ水を加えて、ゆっくり練り込み、また水を少し加えるの連続で捏ねを中心にしてやってみました。山都の宮古地区で教えていただいた要領です。

しばらくすると、そばの塊にテリが出てきて、少しづつまとまってきました。ひび割れも最小限で抑えられます。捏ねるのに必要な力は普段の3倍くらいかかります。なかなか、捏ねられないほど弾力があります。これがオヤマボクチの粘りなのでしょうね。

丸くのして、四つだしをしようと麵を麺棒に巻きました。すると、麵体がややひび割れます。そうでした、これは元々が超粗びき(粒挽き)で粒々が見えるくらい、時にはそばの丸抜きの形のまま残っているくらい粗いそば粉であることを思いまだしました。前回までの湯捏ねでは、細心の注意で扱い、丸のしや四つだしなどは以ての外で、そのままのして畳んで切るという麵でした。オヤマボクチを加えているとはいえ、粗びきの性質はそのままでした。しかし、これもオヤマボクチのなせる業なのかもしれません。そのような麵体であることを忘れさせるほど、扱い易くなっています。

これらのハードルを抜けて、本のしで一定の厚さまでのそうとしましたが、最終的に目指している厚さに至る前に抵抗にあいました。なかなかのせずに、薄くならないのです。これ以上圧を加えると、今度はそばの麵がひび割れてきて切れそうになります。薄くしたいけど、許してくれませんでした。この辺の腕が足りないのだなと反省です。

麵をたたんで切る際に、また、オヤマボクチの力を感じました。切るときに用いる圧力は、普段の3倍以上の力が必要です。また、切った断面が上下にくっつきます。説明には、打ち粉は多めにと記載があり、普段より多く加えていますが、その程度ではダメなようです。切り終えて、上下にくっついているそばをほぐして終了です。やはり、超粗びきによる切れは存在しますが、湯だけでこねたそばよりはつながっているのは明らかでした。

さて、オヤマボクチを加えたそばを茹でてみました。ゆであがった麵は、その艶があるのが特徴です。オヤマボクチは、無味無臭といいます。しかし、小麦粉をつなぎに加えたようなことはありませんが、ほんのわずかですが香りがします。気づかないこともありそうですが微量な香りがあります。また、麵は艶だけでなく、喉越しを与えてくれます。十割そばの粗びき粉で感じる喉越しより、スルッと通りますのでニ八そばのようなのど越しになります。これとは反対に、超粗びきそばを水や湯だけでつないだそばに特有の雑穀感やその香りが失われます。一言でいうと、「旨味を消してのど越し確保。」ということでしょうか。



娘は、隣で「前の方(湯ごね)が断然美味しい。」と言っています。
超粗びきそばの旨味を楽しむのであれば、オヤマボクチを用いずにという方法になりそうです。超粗びきそばを喉越しも楽しみながらということであれば、オヤマボクチの出番があります。両方別々に楽しむという方法も良いですね。

オヤマボクチでつないだそばも、汁を使用して食す、岩塩で試す、岩塩とオリーブオイルで試す、燻製塩で、ミント塩で試してみました。岩塩だけでが一番おいしかったです。汁は最後に少しだけいただきましたが、汁の味にそばの味は敵わないので、そばの味と香りが死んでしまいます。
何か、新たな汁の開発が必要です。呆然とアイデアがあるのですが、閃きを待ちます。