札幌そば研究センター

2016年3月5日土曜日

そば紀行(6) 山形県鶴岡市月山大梵字 と 風土

  山形県鶴岡市にニューウェーブのそば店があるということで、鶴岡市内にあるお店と、少し離れた月山の麓にあるお店に伺いました。

 最初に、まだ雪深い月山の麓にある「大梵字」に伺いました。
この店がある地域は朝日地区と言われ、この地では朝日地域産ソバが採れます。このそば粉を使用しているお店で、十割そばを提供しています。

 鶴岡駅から庄内交通バス鶴岡湯殿山線で45分ほど揺られると、「月山あさひ博物村」に着きます。ここにあるのが、大梵字です。色々な雑誌で紹介されているお店で、地元産そば粉で十割そばにこだわったお店です。そもそもの開業は、第3セクターとして開始されたようです。是非一度行ってみたかったお店で、今回初めて伺うことができました。
朝日地区で栽培しているそば種は、デワカオリです。デワカオリの十割そばを提供する店が少ないので、ある意味貴重な存在です。
大梵字は雪の中


 頼んだのは、ざるそばでした。最初に、そば茶と赤かぶ漬けが出てきました。この赤かぶ漬けは美味しかったです。歯ごたえあり酸味と塩加減の良い赤かぶ漬けを摘まんでいると、ざるそばが来ました。少し大きな笊一面に、少し太いそばが笊の底が見えないほど乗っています。その量は、通常の1.5から1.8人前はありそうで、ボリュームがあります。また、そば豆腐も付いていました。
 蕎麦麺の太さは、1.5~1.8mmで、同じ山形県の大石田地区の蕎麦麺の太さと同じくらいでした。麺はしっかり茹でられた後に〆てあります。汁は、鰹だしで辛みは丁度良かったです。蕎麦湯は、薄すぎて蕎麦の香りを感じませんでした。



 食べ終わり、帰路のバスまで時間があるのでお店の中をグルット見渡すと、なにやら「ご自由に」という文言が目に飛び込んできました。良くみると、「自家製甘酒 ご自由にどうぞ」と書いてあります。甘いもの大好きな私は、立ち上がり、店の方に「甘酒いただきます」と声をかけて頂戴しました。米と米麹で造ったと思われるこれは、甘すぎず軽い甘酒で美味しかったです。お代わりして2杯いただきました。

 帰りのバスが来るまで、道の駅で時間を潰して、月山ワインを2種(葡萄と山葡萄)と月山ジュース3種(葡萄と山葡萄と柿)を購入しました。帰路のバスは、往路のバスの運転手さんと同じ方でした。同じ方が終点で折り返して往復するのですね。私も、折り返しです。

 鶴岡市内に入りかけたところでバスを降り、もう1軒の目的の店へ雪の中を歩いて向かいました。その店は、今行ってきた大梵字の立ち上げに関わり、その後、後任に大梵字を引継ぎ、自身のお店を開業した方で、「風土」というそば屋を開いています。自家製粉です、手挽きで丸ぬきを石臼で挽いている店で、これも、一度は伺ってみたかったお店です。バスを降りて、20分くらい雪の中を歩くと、風土に着きました。
風土の入口
店の前には、本日のそばとして、「山形朝日産と福井県産在来種」と書いてあり、いきなり興味をそそります。店に入り、メニューを見ると、「そば切り」と「粗挽き」があるので、両方をお願いしました。
本日の蕎麦のルーツ
製粉は店主自ら石臼を手で回しているそうで、「何しろこれが一番大変です。」とのことでした。石臼を手で挽くのは相当時間がかかりますし、大変なのだろうなと思います。「歩留まりは45%以下かな。」とのことです。デワカオリと福井県産をブレンドしてそばを打たれるそうです。1番粉に2番粉を加えて、粗挽きを加えるというようなブレンドになるのだろうと想像しながら、ざるそばを待ちました。店主によると、このブレンドでは生粉打ちでは麺が繋がらないので、ほんの少しつなぎを加えていますとのことでした。基本的につなぎを加えた蕎麦は、つなぎが全面に出てしまい、私としては蕎麦を楽しめないという意見でした。ということで、実はこの段階で、折角来たのにそれは残念と心の中で思っていました。

 そうしていると、粗挽きのざるそばが運ばれてきました。麺の全体の色は更科に近い色合いで、そこに粗挽き粉が入り込んでいるような蕎麦麺でした。粗挽き特有のザッパク感の強いのど越しと、香りが良く美味しいそばでした。あれ、「つなぎを感じない」と思いました。ほんの少しつなぎを加える程度であれば、ほとんどつなぎの存在を隠せるのだということを初めて体験しました。美味しいそばでした。山形県朝日地区(地元)産デワカオリと福井県産在来種のブレンドによる蕎麦です。

 そばの太さは、厚みが1.0~1.2mmでこの厚さを基に少しだけ平麺で切っています。汁は、焼き干、真昆布、本節、宗田節、鯖節、醤油、味醂、砂糖で造っているそうです。あっさり、切れがあるそば汁でした。

風土 粗挽き
大石田の蕎邑でいただいた蕎麦と似ているなという感想です。多分粒度分布の構成が近いのだろうと思います。
 福島県山都地区のそば店「蕎邑」より歩留まりを下げて更科感を上げて、そこに粗挽き粉に存在感を持たせるそばでした。そのために、ほんの少しですがつなぎの力が必要になる。そのブレンドの差が、蕎邑の生粉打ちで行くのか、風土のほんの少しでもつなぎを加えるのか、という違いとなるのではないかと思いました。微妙なブレンドですね。
二つの蕎麦の写真を見ると良く分かります。
山形県鶴岡市 風土の粗挽き
福島県山都 蕎邑 もり蕎麦
蕎麦をいただいた後に、店主(佐久間雄二さん)と色々とお話しさせていただき、勉強になりました。このつなぎの使い方は、知っていて損はないと思いながら、これまでの「つなぎは、決して入れるべからず。」というパラダイムが少しだけ変わりました。使いようはあるのかもしれません。
とは言え、つながる方法がありそうだなとも思います。

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