札幌そば研究センター

2016年3月15日火曜日

そば打ち記録(38) 第7回素人そば打ち段位認定会道南大会 in 長万部

2016年3月12日(土)13日(日)と、二日間に渡り「第7回素人そば打ち段位認定会道南大会」が長万部で行われました。

本大会では、全麺協主催のそば打ち段位試験の初段・二段認定会と、福井で行われる「全日本素人そば打ち名人大会予選会」が行われ、これと同時に十段位団体戦と蟹争奪団体戦が行われるということでした。

ピリピリムードの段位試験や予選会とは異なり、団体戦はチームワークも問われるので、和気あいあい??という雰囲気で開催されるということで、これに急遽参戦してみようとなったわけです。一番の動機は、蟹がもらえるよという言葉に誘われ、参加しますと手を挙げてしまったのです。

長万部に朝の8:00までに到着しようということで、3時に家を出て、3名の札幌新川そばの会のメンバーと一緒に長万部へ向かいました。車中は、ドッキリ発言のオンパレードで、NHK用語では、”じぇじぇじぇ” ”ピックリポン”の連発です。朝2時半起きの私でしたが、全く睡魔に襲われることなく、アクセル全開で6時過ぎには長万部に着いてしまいました。あと2時間何をしよう・・・。。。それでも、仮眠することは無く、ビックリポンが会場が開くまで続きました。というより、大会が終わって札幌に戻るまで続いたのでした。

蟹ゲットを目指して、軽い気持ちで乗った話でしたが、これが、とんだ間違いでした。会場が開き、受け付けをして当日のスケジュールや、参加者リストを拝見して、本当のビックリポンです。
初日に開催された蟹争奪団体戦のメンバーは、北海道のそば打ち団体で名が知れた方ばかりが参加しています。名人や代表や・・・です。我々はというと、3段位の先輩、2段位の2名の先輩までは良いとして、初段の私です。 話が違う違う違うです。
蟹争奪戦の結果は、想像にお任せいたします。しかし、蟹を4人で4杯はGETしました。
来年も来て、絶対に上位入賞を目指そうというお約束事が参加4名の中で取り交わされ、蟹争奪戦は終了でした。
参加チームの一つ : ダースベイダー???
我々の写真は、ありません。というより、見せられません。
2日目の十段位団体戦は、参加者4名の合計段位が10段までなら参加可というイベントです。こちのほうも、名だたる方々が参戦しており、またまたビックリポンでした。故に、結果はまあまあこんなところだろうとう位置に収まりました。

2つのイベントに参加して感じたのは、この大会は多くの方が観戦しているので、緊張感が否が応でも高まるということでした。昨年4月に石狩で受験した初段位試験の際には緊張しませんでしたが、今回は変な緊張感がありました。団体戦であるので迷惑をかけられないという環境と多くの方が観戦しているという環境が緊張を高めるようです。この緊張感は、久しぶりでした。数千人を前に舞台に上がって決められた手順通りに意見を述べる際に経験した緊張感に似ていました。あれ以来ですので十数年ぶりでした。アドリブではなく決められた手順に沿い何かを行うという環境は、緊張感を増します。基準と比較検討されることからくる緊張感なのではないかと分析しています。これを克服するには、練習が一番です。教育学では訓練(Training)ということになります。

さて、本会へ参加したもう一つの理由は、福井そば名人戦の予選会を観戦してみたかったからでした。2組に分かれ、福井で行われる本戦に向けての戦いでした。これは、大変勉強になりました。参加者の方々の水回し、のし、切と比較検討できる機会は幌加内名人戦以来です。一つの気付きは、水回しで「もみ手」をされた方が殆どいなかったことでした。もみ手が禁止されている、減点対象ということではないことを後で確認しましたが、一人もいないということは、行わない理由が何かあるのではないかなという疑問を提示してくれました。蕎麦を打つ姿と、出来上がった蕎麦を確認させていただきましたが、私には何方が優れているのかは判定できませんでした。しかし、そばを打っている際に印象に残った方が一人居られましたが、出来上がった麺は突出して優れている蕎麦ではないのを確認しました。結果は、その方が本戦選出されていました。なにが決め手なのか、良くわかりません。

当日夜には、懇親会が盛大に開催されました。このような懇親会への参加は初めての経験でした。100名ほどの方が一堂に会し、初日の反省会、翌日の激励会、そば打ちの会同士の交流が積極的に行われます。名刺を数名の方に頂戴しましたが、札幌新川そばの会では名刺は無いので、どう対処してよいのか戸惑いました。多くの方が初参加の私たちにも声をかけて下さり、ありがたいことでした。社交辞令も含めて、一度遊びに来てくださいとのお話をした方も居られました。こちらは本気です。そのうちに、本当に伺います(よ)。
懇親会場;かなや
海老は大きかった
翌朝の長万部温泉旅館の朝食会場での出来事は、今回この会に参加して得た最も大きなことであったと思います。朝食会場で食事を終えてゆっくりしていると、前日の福井予選会での審査員長が食事をとられて、周りの方とお話しされていました。盗み聞きをしていたわけではありませんが、自然とお話は聞こえてきます。ある方が、直球でその方に聞きました。「何が決め手なのですか?」と。その方は、「選考会は、段位試験とは異なり評価点数との戦いではなく参加者相互間の戦いです。」「ゆえに、他の人に比べて、どうアピールして優位を示せるかです。」「そうすると、所作を含めて、その方々が醸し出す何らかの情景が需要なんです。」という意味合いのお話をされました。なるほどと納得してしまいました。華があるということです。

このお話を伺い、これまでのもやもやが少し晴れました。
①単に美味しいそばを打つこと。
②全麺協が示す素人そば打ちとして示される手順を忠実に守りそばを打つことで、美味しいそばを打つこと。
③お蕎麦屋さんとして美味しいそばを提供すること。
これらの関係が、簡単な比喩で示せそうだと気付いたのです。

①「単に美味しいそばを打つことを目指す」のは、武道で言うとプロフェッショナルではないが「実践」に強いということ。空手では組手が強いこと。柔剣道では実践に強いこと。しかし、現在の社会環境では実際に戦う場がない(戦うと、刑法に触れる)ので、実際はその実力はなかなか測れないことになります。よって、井の中の蛙になりかねない、あるいは自己満足で終わる。
②「全麺協の段位に応じて美味しいそばを打つ」ということは、武道で言うとプロフェッショナルではないが「型」がきれいであることが前提であること。即ち、形から入るという日本武道の習い順と同じこと。空手や柔剣道では型が上手なこと。型は上手いが実践では弱い場合があること。しかし、現社会で実戦での戦いは無いのでそれは表出されない場合が多いこと。
③「お蕎麦屋さんとして美味しいそばを打つこと」は、武道を越えて、プロの大会で勝負すること。空手や柔道ではアルトメットやキックボクシングなどで強いこと。客が来るか来ないかが勝負の分かれ目で、本当に蕎麦が美味しいという評価だけでは測れない場合があること。

この中で、②の「型」の評価として、「型」の基準に照らして評価するのが段位試験(②-1)で、「型」の出来を相互評価して戦うのが名人戦とかの戦い(②-2)であること。この二つがあるのは、武道では空手だけでしょうか。空手の段位試験と、国体や空手大会で行われる「型の部」が相当します。これは絶対評価と相対評価なので基準が異なることになります。名人戦予選会の選出基準が少し理解できたように思います。空手の型の戦いに非常に近いのだと思います。評価基準はありますが、その基準点の採点には、気、所作・動作、流れ、時間(間)などが与える印象、空気が大きく左右します。これに近いのかもしれません。

うーーん。すっきりです。
しかし、ここまで区分けできて、昨日からの疑問は、
「私は何処をめざそうとしているのか」ということでした。

一日たち、目指していこうと思うのは、
②-2を目指そう。その際に、①が常に最終目標であることを忘れないようにしよう。
②-1は、②-2を目指す過程で一緒に向上するので、一つのメルクマークに使用しよう。

ということで、この会に参加したことは、今後の方向性に大きく影響したかもしれません。
このような機会にお誘いいただいた、札幌新川そばの会の先輩諸氏に感謝です。
でも、名刺くらいは必要かもしれません。ご挨拶した時に困ります。それと、参加団体はみなさん、おそろいのTシャツや、ポロシャツを着ているので、これだけでもチームワークについては加点ですね。この辺の反省も含めて、来年も参加して、上位入賞して、大きな蟹箱をゲットします。そうでした、来年は長万部ではなく、せたな町で開催されるそうです。賞品は蟹ではなく、「でっかいホタテ」と本当においしい「生岩のり」を出しますと、せたな町のK氏が仰っていたので、ここに記録しておきます。1年経つと忘れてしまうので。

最後に、このような大変な会が、道南地区のそば協会で行われていることは素晴らしいことだなと思いました。皆さん準備段階から終わるまで本当に御苦労されたのだと思います。一参加者として御礼申し上げます。蟹もありがとうございました。二次会も楽しかったです。

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