道路には雪が無く、早い雪解けの山形大石田そば街道です。
山形県の十割そば店訪問のために、Webの事前情報から数件をピックアップした中で、面白そうなお店を選んで訪問しました。
最初に伺ったのは、「たか橋」です。
国道13号線沿いにあるお店で、一目でそれとわかる建屋です。
お店に入ると、十割そばは限定1日20食とあります。ということは、それ以外は二八のようです。
早速、お店の方に限定20食の十割そばがあるかを伺うと、「15分かかるが大丈夫です。」と言われ、ひとまずはホットしました。ここまで来て、十割が食べられないと残念ですので。
その後、店の中を見渡すと、他のお客さんは普通の板そばを食べています。十割は少し高いので人気が無いのでしょうか?
最初に、そば茶とかぶの漬物が出され、これを頂きながらそばを待ちます。席から厨房が見えるので、今そばを釜に入れた、茹であがったというのが見えます。これは楽しいです。
この店のそば種は、希少価値となっている最上早生の原種を使っているそうです。最上早生の原種を尾花沢市営宝栄牧場で栽培しており、他の種と交配しないように管理しているそうです。この最上早生原種の玄そばと丸ぬきを自家製粉して50対50でブレンドし60メッシュで篩うそうです。
1日限定20食の十割そばが届きました。玄ソバを用いているにしては、そばの色は極端に黒いそばではありませんでした。麺は1.3mm×1.8~2.0mm程度の太めの平打ち麺の蕎麦でした。香りはまずまずで、これが最上早生の味なのだと噛みしめながらいただきました。美味しいそばでした。 かぶの漬物も、美味しかったです。
このそばを打ってみたい思い、店主にそば粉を分けていただけないかとお願いしてみると、少しだけなら分けて下さるということで、このそば粉を2kgほどいただきました。
2店目は、尾花沢から銀山温泉方向に走ったところにある「百笑屋姫」を選び電話して十割そばがあるかどうかを確認してみることにしました。電話すると、「十割そばをやっているよ。」という返事なので、姫を目指すことにしました。
場所は、わざわざ行こうと思わない限り到着しないだろうなという所にありました。一面雪の畑の中にある店です。途中で小さな看板がありました。そこには、「口コミの店 百笑屋姫」とあります。
店に着き、中に入ると、「先ほど電話をくれた人か?」と声をかけられ、「そうです。」と答えながら店の中に入り、一番奥の席に座りました。十割のもりそばをお願いしました。すると、「十割はやっているけど今日は無い。」という返事です。「えッ?!!」と短い返事を返しました。やってるけど、今日は打つ人がいないというのです。狐につままれたようでした。「ご免ね、今日は打つ人がいないから無いんだちゃ。」と追い打ちがあり、我に返ります。無いのではしょうがない。折角来たので、二八のもりの小をお願いしました。うちはもりが良いので小で十分ということでしたので。でも、十割でないのが残念でした。
店の中を見渡していると、「人生の楽園」に取り上げられた記事があります。2009年6月に放映されたそうです。脱サラして、ご夫婦でそば店を初めたというお二人が店をやられています。2009年放送ですので、放送からはかれこれ7年になるそうです。
そばを待つ間に、ほうれん草のお浸し、いぶりガッコと今月から採れ始めたというふきの煮物を頂きました。ふきは美味しかったです。また、いぶりガッコは秋田名産ですが、混ざりものが何も入っていないガッコは美味しかったです。「このガッコは美味しいですね。こちらで漬けるのですか?」とうかがうと、「近所の人が漬けている。」とのことです。
そんな会話をしていると、「もり小」が届きました。小ではありません。普通もりより多いです。麺は太く、1.7×2.0mmの麺でした。最上早生を使用しているそうです。奥様が、今日はほんとにすみませんね。十割を食べてもらえなくて。このいぶりガッコ持って行って。」と、新聞紙に包まれた大根1本の大きないぶりガッコを渡されました。「いや、これは申し訳ありません。ちゃんと確認してこなかった私たちにも否があるので。」と返すと、「また、時間を見つけて十割そばを食べに来てくんしょ。」
そばは食べれませんでしたが、楽しい時間を過ごしました。また必ず来ることを告げて、店を後にしました。
そばは、太くてシッカリ噛んでいただく、田舎そばですが、玄そば比率が低いので、極端に黒い田舎そばではありません。つなぎが入るので、小麦特有の香りに交じるそばの香りと、つなぎ特有の超ツルッとした食感でした。
2軒で終わりになると思われた今日の蕎麦店巡りですが、2軒目が「もり小」でしたので、少しだけお腹に余裕があるということで、大石田方面に戻りもう1軒伺うということなりました。そこで、次年子地区に行くことにしました。次年子地区のそば店4軒は、普段はつなぎ有のそばを提供しています。しかし、「そば切り源四郎」は、要予約で十割も提供しているという情報があり、ダメモトで電話を入れました。すると、「30分後なら、今から打つから十割そばを出せる。」というので、うかがう約束をして、尾花沢から大石田に向かいました。
「そば切り源四郎」のそばは、来迎寺在来種の玄そばをロールで挽いて40メッシュで篩う、粗挽きそばです。そば粉は細かい砂のようです。
十割そばを待つ間に、ワラビ、きくらげなどが出されました。このワラビは絶品でした。こんなワラビはなかなかいただけないと思います。うかがうと、自家栽培のワラビで、毎年大きな樽で5本ほど塩漬けするそうです。それを塩抜きして出しているそうです。太くてシッカリしたワラビです。このワラビは、欲し方がいれば少し分けて下さるそうです。私はすぐに自宅に帰るわけではないので、頂戴してくるわけにはいきませんでしたが、友人は分けてもらしました。ぶっとくてしっかりしているが、全く固くなく、歯にぬからないでワラビの味がしっかりとしたものでした。
十割そばが出てきました。十割は少し細めに仕上げているということで、麺体の太さはは1.5mm程度でした。普通のもりそばは、1.8~2.0mm程度で提供されているようです。
十割は湯ごねで水回ししてつなぐそうです。水ではつながらないということです。そばの色は透明感があるなかに、粒が混在しているような粗挽き粉のそばです。外皮は篩う際に殆ど除かれているようです。この蕎麦は、そばの香りがあり、甘みを主張した美味しい蕎麦でした。粗挽き粉の持つ独特のザッパク感があります。殆ど、何もつけず頂いてしまいました。辛汁は鰹節だけでだしを引いているそうで、主張はしないが美味しい辛汁でした。
もりそばと一緒に、きじ汁もお願いしました。静岡産のきじを使用しつけ汁として提供しているそうです。きじは初めてでしたが、癖は無く、美味しいつゆに仕上がっています。
来迎寺在来種のこの粉も、店主にお願いして2kgほど分けていただきました。そば粉は、細かな砂粒みたいです。篩に入れると、一瞬で下に落ちるのが想像できます。これを水でつなげることにチャレンジです。前回、この地を訪れた際には、きよそばで同じ来迎寺在来種のそば粉を分けていただきました。きよそばの粉は、石臼挽きで微粒粉を中心とした粉でした。同じ在来種で粗挽きになるとどうなるのかを確認できそうです。
そば切り源四郎は、千葉県松戸市に分店があり、従妹の方が経営しているそうです。この地から、全ての食材を送付してるそうです。先ほど触れたワラビも送るので松戸でもいただけると良いです。
店主から面白い話を伺いました。店主は、開店当時に十割そばを提供したいと思っていたそうです。ご本人は、十割そばの方が二八より美味しいと考えている方です。開店前に、たくさんのモニターにそばを食べ比べてもらったそうです。すると、大方の人が二八の方が良いという結果になったそうです。そこで、営業を考え、十割そばの提供をあきらめて、皆が美味しいという二八でのそばを提供することになったそうです。十数年前の環境では、そもそも、十割のそばを食べることの方が稀で、普段食べ慣れているそばを、モニターが美味しいと言ったのではないですかとお話ししました。蕎麦がうまいというより、そばがほんの少し香る小麦粉の香りと、小麦粉のツルットしたのど越しが美味しいの尺度で、そば本来の香りは良くわからず、そば特有のザッパク感ののど越しには慣れていないので違和感が先んじるのだと思いますとお話ししました。
開店後何年か経過し、やはり十割でそばを提供したいと思い、予約制で十割そばの提供を開始したそうです。念願の十割そばが出せるようになったと嬉しそうにお話しされていたのが印象的でした。こんなやり取りをしている隣の席では、私たちの話を聞きながら、東京から来られたという方が、二八を美味しいと言いながら大盛りを食べています。これが、そばの面白いところですね。蓼食う虫も好き好きです。
真ん中が絶品わらび |
きじ汁と十割そば |
麺はしっかりしていて、美味しい粗挽きの十割そばです。 |
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