前回のつゆ造りで、本枯れ節によるだしを用いてのつゆ造りには、ある程度満足できた。
今回は、本枯れ節だけでなく、その他の食材を加えてだしを引き、つゆを作り、本枯れ節のみのだしによるつゆとの比較検討を行うことを目的にした。前回のつゆの作成に用いたかえしが少し残っているので、同じかえしを用いて、異なるだしで作ったつゆとを比較検討してみたかったからである。
本枯れ節のみで引いただしは、江戸時代から江戸のそばのつゆに用いられてきた。当時の物の物流により、江戸に送られた鰹節が、送られてくるまでに相当に時間を有したことや、途中での温度管理等により、自然発酵の鰹節が出来上がり、後に、それを商品とした本枯れ節は、当時の江戸という町では、だしを引くにはこれを用いるしかない環境であった。当時の「薮そば」に関する資料の中に、そのつゆが美味しくないと言う記述があるほどなので、当時のつゆは美味しくなかったのであろうと推察される。甘みを出す食材も限られていた時代である。甘みを出すには、経費も掛かったであろうし、その選択肢も少ないので、だしを上図に使いながら甘みを引き出したのだろうと推察できる。
そんな時代環境で用いられた材料以外に、現代は、よりたくさんの食材がある。だしを引くにも、本枯れ節以外にも美味しさの元となる、アミノ酸を抽出できる食材は豊富である。醤油自体にも大量のアミノ酸が含まれ、その成分比は昔の醤油の成分比とは異なる。
本枯れ節によるだしを用いたつゆを基本として、しかし、これに固執することなく、より豊富な食材を用いただしやつゆ造りにシフトしていこうと考える。より、現代の食材で、現代のヒトの舌に合うつゆ造りに舵を切って行きます。かえしと、だしの両方の造りに、現代の食材を用いて新たにチャレンジしていきます。
<検討できそうな食材>
酢
ワインビネガー
蜂蜜
酒
ワイン
宗田節
亀節
鯖節
ムロアジ
どんこ
昆布
醤油(無添加)
熟成醤油
白醤油
薄口醤油
塩
岩塩
ミネラルウォーター
水素水
等々
さまざまなものが溢れています。
<今回のチャレンジ>
【だし】
鰹節 25g
宗田鰹節 25g
鯖節 25g
ムロアジ 20g
始の水量 1500 ml
上がり水量 1000 ml
歩留り 66.7%
鰹比率 9.5%
引き時間 35分
【つゆ】
上記だし 1000ml
前回同様のかえし 333ml
だしとかえしの比率は、前回のつゆと同様として作成した。
前回のつゆ(枯れ節つゆ;以下、枯れつゆ)と、今回のつゆ(以下、混ぜつゆ)の比較。
甘みと、塩気は全く同様に感じた。
①そばをつゆで食した際の感じ方
⇒枯れつゆは、すーっと味が切れていく。つゆの風味(これはだしによる)は、スーッと消えていく。後に残るのは、つゆの甘みと醤油である。
⇒混ぜつゆは、そばがのどを通った後も、風味が残る。少しであるが、風味が残りつゆの甘みと混然として、醤油をあまり感じさせない。
②そば湯で伸ばした際のつゆの味わい
⇒枯れつゆは、だしの元となるアミノ酸によるだしの風味と独特のうまみはスーッと消えていき、尾を引かない。切れがあるという表現が当てはまる。
⇒混ぜつゆは、だしによる風味と独特のうまみが後に残り、美味しさが持続する。後に尾を引く味わいである。ジュワーという感じで口腔内に幸せな感じが残る。
現代のヒトは、だしの味に慣れ、美味しいをすなわち風味や、口腔へのアミノ酸による旨みの広がりと捉えている可能性がある。そうであれば、混ぜつゆの方が好まれるのかもしれないと思えた。
今後は、甘みとのバランスもあるので、だしとかえし比率を変えながら少しずつ検討していきたい。
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