札幌そば研究センター

2015年11月23日月曜日

そば打ち記録(26) 札幌新川そばの会にて 2015/11/21

札幌新川そばの会にて
天候:曇り
気温:3℃

本日のそば打ちは、2つのテーマがあり、会が開くと同時に入りました。第一に、近所の方からそばを頼まれたので、15人前を人に提供できるように打つこと。そばが大好きという方から、生粉打ちなら是非にということで、提供することになりました。二つめは、音威子府のそば農家の加藤様から送っていただいた、音威子府産のキタワセを試すこと。丸抜き石臼挽きで55メッシュで篩ったものと、同様に挽いて25メッシュで篩ったものがあり、55メッシュは想像がつくので、25メッシュ篩の粗い粉を是非生粉打ちで試したいということです。

①そば粉:厚田さん新そば
1.5kg 生粉打ち
加水量:700ml
加水率:46.6%

最初に、そばの会のそば粉1.5kgを打ちました。約1時間でした。丸のし、四つだし、のしと順調に行きました。やはり、人から頼まれてのそば打ちは、真剣度が増し、集中した作業となります。少しだけのしすぎたかな?という感覚がありますが、薄くのしあがり、切りも細く切れました。
このそばを茹でてみると、投入後再沸騰してから上げたのでは、水きりの悪いそばになりました。そこで、投入後、3秒から4秒であげると美味しいそばになりました。ここまでの細いそばに仕上がったのは初めてです。でも、細いそばは、細いそばとしての美味しさがあります。
しかし、差し上げる先の方が、細いそばを要求していたのかは不明でしたので、少し心配ではあります。





②そば粉:音威子府産キワワセ新そば
       丸抜き石臼挽きを25メッシュ篩
1.0kg 生粉打ち
加水量:440ml
加水率:44.0%

2つ目は、音威子府の加藤様がつくられた、そばの丸抜きの25メッシュ篩のそば粉です。このように粗いそば粉を打つのは、初のことです。札幌新川そばの会で提供されるそば粉は、生粉打ちで最も美味しく仕上がり、かつ、簡単に打てるそば粉です。これは、佐伯会長の長年のそばの研究と、札幌製粉のご努力で提供されるそば粉です。そのため、いろいろと余計なことを考えなくても、ちゃんと打てば、生粉打ちでもそれなりのそばが打てます。これから試す、25メッシュ篩というのは昔の20号篩のことだと思いますので、粗い紛体を含んだそば粉ということになります。

最近はやりのニューウェーブといわれるそば店では、丸抜きの自家製粉、加えて手引き石臼挽き、挽いた粉を篩分けしそれぞれを配合するというお店が出てきています。すべては、美味しいそばを求めてのことだと思います。一つ不思議なのは、そこまで製粉を追及しているのに、生粉打ちでない処があります。つなぎを少しだけ入れる、または、二八まで加えるというところです。つなぎが入ると、グルテンを感じますし、そばとして本当においしいのかな?と少し不思議です。のど越しはスルッとしますので良くなるという意見は分かりますが、生粉打ちのそばは、スルットの後にほんの少しの喉へのザラツキ感を与えます、これがそばののど越しだと思うのは少数意見なのかな?茹で時間も全く異なります。小麦粉を茹でるには時間かかるので、そばは先に茹であがり、小麦の茹であがるのを待つということになります。
Gluten-Freeの時代ですので、そばはそばとして食し、グルテンはグルテンとして食せばよいのにと思うのは横暴なのでしょうか?(間違ったG-Fの考え方も蔓延してはいますので、G-Fが正しいとも言えません?また、G-Fは元々Glutenアレルギーを指し、そばにも蕎麦アレルギーがありますので、同じ心配があります。)横にそれてしまいました。
私自身も、丸抜きでほぼ全粒粉でのそばを試したかったので、今回の25メッシュ篩のそばには期待が大でした。このようなそばを生粉打ちで打てる自信はありません。あまたの書籍には、生粉打ちの難しさ(1988 片倉康雄 Amazonリンク)、加水が全て(1999 大西利光,須田冶著Amazonリンク )、紛体の分布で大きな分布が増えると水を吸うので加水が増える(2006永山寛康Amazonリンク )等々、さまざまな意見があります。これらを踏まえて、とりあえずいつものように、感じる加水具合でやってみるしかないと、チャレンジしました。
加水して、水が紛体に行き渡るか否かのところで感じるそばの香りは、大変強い物でした。その後、2回目の加水を行うと自然とまとまりました。ここまでの過程で、特別のことは起こっていません。加水率は44%でしたので、今日の1回目に打ったそば粉よりは、少ない加水で済みました。そば粉が含有する水分が多いのだと思います。そば粉を握ってみたときの感覚(写真参照)では、水分をしっかり含んでるなというそば粉でした。製造者の加藤様のお話では、水分量の調整もやっていますというお話しでした。
その後、丸のし、四つだし、本のしと進み、最初のそばよりは少しだけ厚みを残して(0.1㎜程度)仕上げました。最終的に、普段と何も変わらずに終わってしまったので、少し拍子抜けでした。特に難しいそば打ちではないという感想です。しかし、ゆで上げて食べる段にて、ボロボロに切れるということが無いとも解らないので、昨夜茹でて食すまでは心配でした。茹では、沸騰している湯に投入し、再沸騰を待って上げたそばは、水切りが悪く、緩いそばになりました。そこで、茹であがりの最短時間を見極め、投入して4秒(再沸騰前)で茹であがりました。大変美味しいそばになりました。雑味やぼそぼそ感は全くありません。麺はシマっています。そばの味と香りを感じます。おいしいと思います。来週は55メッシュ篩の粉を試してみます。

音威子府加藤様製造のキタワセ丸抜き

水分はしっかり含んでいます
1988 片倉 康雄 片倉康雄 手打そばの技術 一茶庵・友蕎子  旭屋出版
1999 大西利光,須田治 そば打ちの美学  川辺書林
2006 永山 寛康 そば・そば料理の新しい世界  旭屋出版



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