札幌そば研究センター

2017年4月29日土曜日

そば紀行(23) 津軽そば 弘前市

津軽そばは、青森県津軽地方を中心に食されている郷土料理の蕎麦。「つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うのが特徴で、その呉汁をそばがきに混ぜ合わせて生地が作られている。」「江戸時代に蕎麦からタンパク質を摂取するためにこのような独特の製法が生まれたとされている。」とWikipediaに記載がある。弘前市内で見かける津軽そばはどうなのだろうか?

弘前市の「野の庵」を中心に、昔ながらの津軽そばを復活させたとあるが、当の野の庵での現在のもりそばは、大豆つなぎの津軽そばではなくなっている。

弘前駅に近い虹のマート(生鮮食品市場)に、明治21年創業の㈱アキモト製麺は直営のイートインを営業しています。「津軽そば」「津軽そば極上」などの麵を販売しながら、イートインできるようになっています。本市場も、他の市場同様に市場内のお店の食材を購入してその場で食べられるようなテーブルが用意されています。アキモト製麺店では、麵をその場で茹でて提供してくれます。
アキモト製麺店の津軽そばの製法は、Wekipediaにあるような大豆を用いてつないだそばではなく、小麦でつないだそばだそうです。ということは、津軽そばというより、普通のそばです。極上はつなぎ1割とのことでした。
このようなそばを津軽そばと呼んでよいのかは、判断しかねます。地元の方がそのように呼んでおられるので、それも有りではと感じました。郷土蕎麦を元々ある形で現存させるのは、なかなか難しいのだろうなと思います。

津軽名物に、最近話題になってきた(あるTV番組が紹介)「イカメンチ」というのがあります。イカゲソを叩き、野菜と混ぜて揚げるという食べ物です。お好み焼きをさつま揚げのように揚げるという両者をミックスしたような食べ物です。これが美味しいのです。

虹のマートにも、「イカメンチ」を提供している店が数店あります。今日は2店で購入し、アキモト製麺に持ち込んで、極上津軽かけそばと一緒にいただきました。
やわらかい「津軽そば??」と「イカメンチ」を堪能です。

津軽そば?とイカメンチ×2

2017年4月9日日曜日

そば打ち記録(64) 山都町宮古のそば粉 & 粗びき粉のそば打ち

4月8日(土)
気温:9度
風が強い日です。
強風により札幌新川そばの会の玄関の扉のガラスが割れてしまいました。

久しぶりに札幌新川そばの会でのそば打ちです。
来週開催の、生粉打ちそば名人大会は欠席になり、そば打ち熱が少し弱まっています。
しかし、生粉打ち名人戦の練習用のそば粉を手に入れたので、それで練習します。
加えて、先週福島県山都町宮古地区の大下さんから分けていただいた、微粉引きの歩留まり60%の玄そば挽きぐるみの粉で打ってみます。先日うかがった際に、大下さんでそば打ちを見せていただきました。湯捏ねで打ち丸のしのみで切るのが、宮古地区の山都そばです。そこで、この粉で水でそば切りにならないかにチャレンジです。

更科粉は、つなぎになる物質が少ないので麵につなぐのが大変困難です。更科粉はたんぱく質や糖タンパクによる粘性が期待できないので、水でつなぐのは難しく、湯を用いてでんぷんをアルファ化することで粘性を得てつなぐことになります。
その対極にある粗びき粉は、粒が混じるのでつながることを邪魔します。これをつなぐには、強制的につなぎを使ってつなぐ(十一で1割を小麦粉を加えてつなぐ、あるいは、長野県飯山地区の高倉蕎麦や木曽町の時香庵のオヤマボクチでつなぐ)方法、湯捏ねでデンプンをアルファ化してその粘性を用いてつなぐ(山形県の大石田次年子地区のそばの打ち方)方法、あるいは、大変むつかしいのでしょうが水で何とかつなぐ(岩手県平泉地水庵のつなぎ方)等の方法があります。
また、普通の歩留まり60%前後の丸抜き微粉引きの粉は、そば粉だけで(十割で)水を用いてしっかりとつながります。この粉に粗びき粉を少し混ぜると、急に水回しが難しくなります。加えられた粗びき粉がつながりを妨害するので、加える水の量を増やす必要があります。粗びき粉への水の浸透に時間がかかるので、丁度良いと思う水の量では、打っていく途中で水を吸い込み、水が足りていない状態になります。よって、そば粉の塊が硬くなったり、のしているとヒビが入りますし、麵が切れます。

今日打つ予定のそば粉は、生粉打ち名人戦のそば粉が、普通粉に粗びきを加えた粉です。大下さんのそば粉は、微粉の配合が多い玄そば全粒粉となるので、粉の性質が更科粉に近い粉です。そこで、この地区では、湯ごねでつないでいます。これを水でつなげれることにチャレンジです。

1回目
福島県山都町宮古地区大下さん採取在来種玄そば全粒微粉歩留まり60%粉
そば粉;1kg
水;510ml
480ml程度水を加えた段階で、丁度良いと思いくくり始めましたが、少し硬くなってきます。そこで、水を少しづつ加えて、大下さんで確認した柔らかさになるまでに、30ml水が入り、総量で510ml入りました。捏ねていくと丁度良いと思う硬さに比べて少し柔らかい感じですが、ひび割れは起きません。
捏ね終えて、丸出しの段階で、周りが少しひび割れが表れ始めます。その後、四つだしを行うと、急に麵自体がひび割れしてきます。そのままある程度の大きさに伸ばしますが、麵体の表面がひびが入っています。そこで、回しのしで捏ねながらのす方法でテリを出すようにのすと、表面のひび割れは修正されてきます。
たたんで切りますが、相当に切れやすい麵体です。
大下さんでは、湯ごねして、そばの塊を小さく分けて、それを丸のししそのまま切ります。よって、最小限の麵への負荷でそば切りとしています。それと比較して江戸蕎麦の打ち方では、麵体への伸ばす負荷がかかりすぎてしまうのだと思われます。のし方を変えることで、麵になるかはわかりませんが、今回用いた江戸蕎麦の打ち方はよくなさそうであるということは確かかなと思います。

2回目と3回目
生粉打ち名人戦の練習粉
そば粉:1kg

2回目;550ml
3回目;570ml

2回目は、粗びき粉を加えた粉での練習です。
水回しが良くないのでしょう、水が550mlしか入らず、最終的に水が足りない状態になりました。このまま打てないので、水を加えましたが、表面への水ですので、柔らかくはなりますが、ボロボロに切れる状態になりました。完全に失敗です。
3回目は、最初の加水時の水回しに気をつけ、何とか570mlの水を入れられましたが、今度は柔らかすぎて、その後の対応が難しくなりました。結構の量の打ち粉を用いましたが、麵体がうち台にくっついたり、麵同士がくっついたりという状態でした。
これも、加えた水が浸透していないので、水か過多の状態です。やはり、水回しの失敗でした。
この粉は、難しいです。4段位試験用の粉に近いようですが、扱いが非常に難しいと思います。来年の名人戦に向けて、練習していきたいと思います。
でも、こんな粉ばかり打っていると、自信がどんどんなくなっていきそうです。これにめげずに乗り越えないといけませんね!??