先週の札幌新川そぼの会でのこと、会長より、この本知っていると示されたのは、「アンソロジーそば」のひとつの記事の、前田又兵衛博士のことであった。
前田博士の論文を検索し、東大の博士論文として国立国会図書館に蔵書されていることを確認したが、遠方故、他の資料を検索し、セメント・コンクリート誌に同様の論文が掲載されていることを確認した。この資料も、簡単には手に入らず(Webからコンクリート協会にオーダーするという手はあるが)、出来るだけ早期に手に入れたいと考え、北海道大学図書館に蔵書されていることを確認し連絡した。すると、該当図書は大学の付属図書館には存在せず、工学部の図書館にあるとのこと、早速そちらに連絡すると、その本は研究室にあることをつきとめてくださった。そこで、大学と市民との間の相互利用によるコピーサービスという方法により、在学生ではないが、手に入れることができた。
論文の主旨は、うどん打ちの、粉と水の混合における、水回しと捏ねの作業のうち、捏ねる作業を、コンクリート作成の際の混合の作業に応用し、混合の質を向上することで、質の高いコンクリートを作る自動ミキサを開発し、その効果を示したのもであった。
捏ねの作業は、1枚を2つに折り曲げ、圧をかけ、また2つに折りという作業の連続である。これにより元の1枚は、2の折り返した回数乗で折り返されるので、その過程で、粉と水が混合されていくことになる。それを、コンクリートの混合に応用したというものでした。「2」の「折り返し乗数」で折るとは、10回折り曲げると2の10乗になり、1,024層になります。20回だと約100万層です。
そばを打つ際には何回この作業をしているかな!と思いをはせました。これまで、あまり気にしていませんでしたが、20回で100万層といわれると、相当数であると改めて感じる。うどんや、28そばのようにうどん粉を捏ねる目的に、水の混合だけでなく、グルテンの粘化を目的にしているといわれている。それでも、100万階層必要なのか?
新川そばの会は、生粉うちの会である。生粉打ちでは、グルテンの粘化は無関係なので、水と粉の混合のために必要な捏ね回数はどの程度なのかを考えればよい?どの程度の回数が必要で、最適なのであろうか?という素朴な疑問が出てきた。また、未熟な水回しが、捏ね作業で取り戻せるのであろうか?という技術的な疑問も出てきた。
参考文献
1999 うどん練りの発想による連続練りミキサの開発 前田 又兵衛 山田 一宇 セメントコンクリート 628, 20-27 セメント協会
2014 アンソロジーそば 池波正太郎 (著), 入江相政 (著), 色川武大 (著), 大河内昭爾 (著), 太田愛人 (著), 尾辻克彦 (著), 川上弘美 (著), & 31 パルコ